逆境続きの激動の2020年シーズンだった。
挑戦者として臨んだクライマックス・シリーズで王者ソフトバンクに力負け。11月15日に今シーズンが終了した。

井口資仁監督にとっては3年目のシーズン。「ホップ、ステップ、ジャンプの年にしたい」と飛躍を誓った通り、昨季の4位から2位に躍進した。首位とは14ゲーム差離されたものの、開幕からシーズン終了までパ・リーグの主役を演じ続けた。

シーズン開幕前から12球団の主役はロッテだった。最速163キロを誇る”令和の怪物”こと佐々木朗希(大船渡高)が入団。

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1月の新人合同自主トレ、2月の石垣島キャンプと、令和の怪物フィーバーが起きた。

3月に無観客でオープン戦が始まり、阪神を退団した鳥谷敬が電撃入団。その頃、コロナ禍で開幕延期となった。佐々木朗希はフリー打撃で157キロを投げていた。

開幕が不透明な日々が続く。佐々木は野球少年のためにYouTubeで数々のトレーニング動画を公開した。5月の初のシート打撃登板では160キロを投げた。しかも2度投げた。

球春の到来は3カ月遅れの6月だった。開幕2戦目から破竹の8連勝を飾った。中村奨吾に初の満塁弾が飛び出した。ルーキー佐藤都志也はプロ初安打が劇的サヨナラタイムリーだった。レアードは寿司を握っていた。オリックスにいきなり同一カードで6連勝するなど、勢いに乗った。

7月、「スマイリー・ジャクソン」の愛称で慕われ、8回のマウンドを託していたジャクソンが退団となった。明るい話題もあった。ZOZOマリンにもようやく上限5000人ながらファンが帰ってきた。種市篤暉がファンの拍手を力に初勝利をあげた。

しかし、その後種市は右肘の手術で離脱。4番のレアードも腰痛で離脱となり、投打の中心がいなくなった。チームは4位に停滞した。

8月に巻き返しを見せた。高卒3年目の安田尚憲が4番に定着。若き主砲にチームの命運が託された。

高校時代は陸上部で育成出身の俊足・和田康士朗が3安打3盗塁3得点。堂々のスタメンデビューを飾り、幕張の新スピードスターの誕生に沸いた。

「逆転のロッテ」と言われた今季。延長にもつれたシーソーゲーム。代走・鳥谷の「魂の激走」でサヨナラ勝利もあった。

唐川侑己が得意のカットボールを武器に「7回の男」として定着し、防御率0.00の無失点投球を続けた。

1日だけながら、ソフトバンクを抜いて単独首位に浮上した。「Yes!マーティン!」でお馴染みのマーティンが女優・広瀬アリスさんに似ていると話題をさらった。

9月には、澤村拓一が巨人から電撃トレードで加入。入団会見の日にリリーフ登板し、スプリットで3者三振の衝撃デビューを飾った。燃える男が多くの窮地を救っていった。

一方、正捕手の田村龍弘が右手にデッドボールを受けて離脱。その後、荻野貴司が故障から復帰した。

10月に最大の逆境が待っていた。新型コロナウイルスに集団感染。岩下大輝、荻野貴司、角中勝也、藤岡裕大、鳥谷敬といったレギュラー組も離脱。残り30試合を切り、大きな痛手となった。

その中でも、高卒2年目の若武者・藤原恭大が台頭した。チームの連敗が続く中、持ち前のフルスイングで打線をけん引した。

一方で、チームトップの25本塁打を放っていたマーティンが、走塁の際に足首を負傷。打線の得点力が著しく低下し、守ってきた2位の座も、ついに陥落した。3位・西武の足音も近づいてきた。「あと1本が出ない…」連敗に指揮官も苦悩の日が続いた。

11月。西武との2位争いはもつれにもつれた。120試合制の119試合目の直接対決でようやくクライマックス・シリーズ進出を決めた。

福岡での王者ソフトバンクとのCS初戦。安田がCS初打席で本塁打を放つも、敗戦。2戦目も破れ、シーズンは終わったが安田の先制タイムリー、藤原は猛打賞と、若手には収穫の秋だった。

一年を通して、突出した選手はいなかった。フルメンバーが一度も揃わないシーズンだった。耐えて粘った逆境続きの一年。この経験は必ず来季の礎となる。

本拠地最終戦セレモニー

(フジテレビ・加藤忍)