巨額の横領事件を巡って、不動産会社・プレサンスコーポレーションの元社長・山岸忍さんが逮捕・起訴されたものの、のちに無罪が確定したえん罪事件。
当時、大阪地検特捜部で山岸さんの元部下の取り調べを担当した田渕大輔検事は、机を叩いて、大声で「検察なめんな」などと威圧的な取り調べをし、元部下から山岸さんが事件に関与しているという嘘の供述を引き出した。
そして田渕検事はこの威圧的な取り調べを巡って、特別公務員暴行陵虐の罪で起訴され、7月10日から刑事裁判が始まった。
田渕検事は裁判で無罪を主張した。
また検察官役を務める指定弁護士は、特捜部の副部長と取り調べをチェックする役割を担う2人の検事が、田渕検事の取り調べ映像を見ていたにもかかわらず、組織の中で問題視することなく起訴に至ったと指摘した。
■「検察庁の取り調べのあり方そのものが問われている異例の裁判」
この裁判について、元テレビ朝日アナウンサーで、刑事弁護も手掛ける西脇亨輔弁護士は、まず田渕検事が起訴されることになった手続き、「付審判請求」(ふしんぱんせいきゅう)※による起訴がいかに異例なのかを説明した。
※「付審判請求」(ふしんぱんせいきゅう)は、公務員が職権を濫用する犯罪等に限って、裁判所に“起訴”するよう求めることができるという手続き。検察官役は、裁判所が指定する弁護士が担う。
【西脇弁護士】「この『付審判』という制度は、昭和24(1949)年からずっとある制度で、70年以上あるんですが、この期間で、『付審判決定』になったのは今回が23件目です。
非常に“異例中の異例な”上に、これまでの例というのは、警察官が捜査中に何か暴力を振るってしまったとか、そういった事案が多くて。
でも今回は検察官の取り調べ中の発言などが対象になっています。ですから、検察庁の取り調べのあり方そのものが問われています。
そういう意味では、非常に異例の裁判でもあるし、非常に歴史的な裁判だっていうところもあります」

■検事本人も検察庁組織としても『これぐらいは大丈夫だ』と考えていたのでは
取り調べが録音・録画されている中で、田渕検事はこのような威圧的な取り調べをしています。これについて西脇弁護士は、検察組織がこの取り調べを問題視していなかった可能性があると指摘する。
【西脇弁護士】「やはりカメラの前でこれをやっていることが焦点の1つでもあって、録音・録画されていると知りながらやっています。
やっているときは、検察官も『この程度の取り調べなら大丈夫だろう』と思って、カメラの前であえてやっていて、しかもこれを確認した検察庁の組織としても、『これぐらいは大丈夫だ』と思って、問題視していなかった可能性がある。
だとしたら、こういった例というのは検察庁の中では特殊な例ではなくて、日常、普通に行われていたんじゃないか。
そして他にもこうやってえん罪に繋がるような取り調べがあったのではないか、という疑念が湧いてくるわけです」

■「検察の体質そのものも含め、裁判所がどういうふうに判断するか注目」
【西脇弁護士】「そういった体質そのものも含めて、裁判所がどういうふうに判断をするのか。
これまでの検察庁の取り調べのあり方というのが一般の社会通念から、ずれていなかったのかということ。
そのあたりが非常に大きなポイントになると思いますし、裁判所がどう判断するのかというのが注目だと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月10日放送)


