有名シェフ監修のレストランだった長野県小谷村の古民家が6月、食堂に姿を変えました。地元企業が手掛け、住民の憩いの場になればと、再生に取り組んでいます。

■かやぶき屋根の古民家食堂

栂池のスキー場に近い小谷村沓掛地区。かやぶき屋根の古民家を利用した「やまさと食堂」が、6月15日オープンしました。

冷たい水で締めたこだわりの「ざるそば」は、自慢の味です。

客:
「おいしいですよ」

店を運営するのは、片山真さん(57)と、松澤泉さん(57)。

片山さんが代表を務める地元の林業会社が食堂をオープンさせ、そのきっかけは、社員の松澤さんの提案でした。

やまさと食堂・片山真さん:
「農業と林業と、この田舎での暮らし。そこの『できたもの』とか、山菜も山から来ますので、そういったものを提供する場があってもいいかなっていうくらいでした」

やまさと食堂・松澤泉さん:
「スキー場の方はインバウンドの客も結構大勢来ていて、地元の方々が、ゆっくりお茶飲んで、話をするような場所っていうのは減ってきていて、そういった場所にしていきたいなと思って」

食堂は、もともと古民家レストランだったところを利用しています。

■ミシュランシェフ監修の店

その店というのは―。

3年前にオープンした「レストランNAGANO」。

「ミシュラン一つ星」を4年連続で獲得した人気店のシェフ・鳥羽周作さんの会社が運営する店でした。

築140年の古民家を村が取得し、約1億2000万円かけて飲食店に改修。

指定管理契約を結んだのが鳥羽さんが代表を務める会社で、小さな村にできた本格レストランとして大きな話題になりました。

■大衆的な食堂を提供する食堂に

しかし、2025年9月末、鳥羽さんの会社が指定管理契約を更新せず閉店することに。

そこで、村は新たな指定管理者を募集。そこに応募したのが、片山さんと松澤さんでした。

松澤泉さん:
「ここの地域の食材だったり、この雰囲気を大事にしていきたいということで、以前のフレンチ系のレストランではなくて、大衆的な食事を提供するような場所としてプレゼンをさせていただきました」

片山さんと松澤さんは共に小谷村出身で、小中学校時代の同級生です。

片山さんは県外の林業会社で働いた後、地元に戻り、10年ほど前に独立。

片山真さん:
「外に出てみていろいろと行ってみるごとに、小谷の良さが感じられるというか、時々帰ってきたときにものすごく居心地の良を感じて。やっぱり小谷だなと思って帰ってきたところです」

松澤さんは白馬村の山小屋などで働いた後、片山さんの会社に入り、農業関連の仕事なども担当していました。

松澤泉さん:
「4年間ですけど山小屋にいて、そこで山のきれいさ、夕焼けのきれいさだったり、花のきれいさが分かるようになって、そこを離れてやはり、ここ(小谷村)の自然って他にないなっていうのが気づけて」

■こだわりは「地元産」の食材

山小屋での経験を生かし、厨房にも立つ松澤さん。食材は「地元産」にこだわっています。

日替わり定食につけるタケノコ汁には6月中旬に、村内で収穫した「ネマガリダケ」をふんだんに使います。

松澤泉さん:
「タケノコ汁です。これから夏野菜とか取れれば、地元の野菜使って提供できればなって思っています」

こちらは、付け合わせのワラビの煮つけ。もちろ小谷村産です。

片山真さん:
「なるべく地産地消じゃないですけど、遠くから持ってきたくないっていうのが根本的で、僕ら2人とも地元に育ってきているので、それがあるのを知ってるので。だからせっかくなので、そういうものから」

■打ち立てそばが店のイチオシ

ランチ営業は午前10時から午後2時まで。

店のイチオシは「そば」です。

極力「小谷村産」のそば粉を使い、村内のそば打ち職人が、毎朝作る「打ち立て」です。

そばを注文した客(小谷村民):
「ひき立てで、打ち立てで、小谷は冷たい水で冷やせられるので、風味豊かで締まりもいいおそばになってます」

■地元客でにぎわう憩いの場

まだオープンして1週間余りですが、すでに地元の人たちでにぎわっています。

日替わり定食を注文した小谷村民:
「お刺身もなんか新鮮でおいしいし、卵焼きもすごい、うちでは作れない味」

小谷村民:
「インバウンドの関係で地元の人が食べるところが少ない。いろんなとこで食べたいけど、なかなかないので、そういう意味では非常に助かります」

片山真さん:
「ちょっとプレッシャーですけど、味次第で来ていただけるかどうかが決まりますので」

厨房も慌ただしく―。

松澤泉さん:
「忙しいぐらいがちょうど働きがいがあるというか。地元の方が、ここに来ていただけるのが一番うれしいので、やってよかったなと思います」

■目指すは小谷村の交流拠点

2人の「地元愛」が食堂という形になり、古民家もにぎわいを取り戻しました。

住民が集う場に―。

将来的にはワークショップなども開いて、「小谷村の交流拠点にしたい」という構想を描いています。

やまさと食堂・松澤泉さん:
「多くの方にここに、食事だけではなくていろんな農林業の体験をしていただいて、小谷の良さというのが伝わればいいかなと思っています」

やまさと食堂・片山真さん:
「地元のいろんな、林業、農業、お菓子作りだったり、伝統的な工芸品だったり、そういったもののワークショップとしてみんなでつくれるようなイベントとか、いろんな人が集えるというか、そういう場所にしていきたいなと思ってます」

長野放送
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