こども食堂を営む総菜店について。長野市安茂里に住む女性が子どもたちの居場所をと、3月にこども食堂をオープン。その運営費をまかなうために同じ建物で始めたのが総菜店だ。女性の人柄と家庭的な味が客を引きつけている。
総菜店オープン”家庭の味”を食卓に
鶏肉とブロッコリーのオーロラソース和えに、のり塩ポテト。大葉巻きのつくねも。
長野市の安茂里駅から徒歩約5分、2026年3月にオープンした総菜店「台所ことこと」。
夕方には、夕食用のおかずを求めて客が訪れ、にぎわう。
地元住民:
「(家が)安茂里なので、やっている日はだいたい帰りがけに寄らせてもらっています。共働きなので助かっています」
営むのは地元に住む米畑恵子さん(53)。
台所ことこと・米畑恵子さん:
「地域密着というのも一番ですが、作っている総菜は家庭料理の延長といいますか、手作り感が満載の総菜なので、毎日の食卓に添えていただければ」
もう一つの顔は「こども食堂」
実は、店にはもうひとつの顔が。週に3日、地域の子どもたちの居場所として「こども食堂」を開いている。
米畑恵子さん:
「もちろん食事の提供も無料で中学生まではしていますけど、一番は子どもの居場所という役割として運営しています」
長野市の通信販売会社で長年働いていた米畑さんだが、親の介護などの事情で2024年退社。その際、地元に「こども食堂」がないという実情を知り、一念発起してこども食堂をはじめた。
米畑恵子さん:
「食事の提供も、子どもの居場所というのも、今すごく課題になっている。どこの地域だからいらないとか、いるとかそういうものじゃなくて、どの地域にも必要だと思って。自身の年齢も50を超えて、最後の仕事じゃないですけど、人の役に立つことっていうのをしてみたい」
運営費を賄うために総菜店を開業
物件探しから奔走し、安茂里駅の近くにあった築50年の古民家をリノベーションして2026年3月にこども食堂をオープン。
運営費を賄うために別の部屋で始めたのが総菜店だった。
米畑恵子さん:
「総菜店をすれば、こども食堂に提供するご飯も一緒にまかなえるし、食品ロスも少なくなるんじゃないかと」
客からの要望もあり、弁当販売もスタート。
米畑恵子さん:
「きょうは鶏ももの唐揚げと、サバの塩焼き、全部手作りの総菜で、(こだわりは)お野菜がしっかり取れるということで、すべての副菜にはお野菜を入れています」
地元食材をふんだんに使った6種類のおかずが入って650円だ。
5種類を「100グラム198円」で
弁当販売と並行して、総菜作りも。
米畑恵子さん:
「いろんなつくねを作るんですけど、レンコン入りだったり、ナガイモ入りだったり、チーズをのっけたり。つくねは本当に人気で、ハンバーグより人気」
この日は、鶏肉と豆腐、長野市産のタマネギなどを混ぜて、つくねを作った。大葉で巻いて甘じょっぱいタレに絡ませたら完成。
こちらは常連からもらったジャガイモを油で炒め―。
米畑恵子さん:
「バター3かけくらいいくよ、多いかな。多い方がおいしいもんね」
塩と青のりをかけたら―。
米畑恵子さん:
「はい、うま塩ポテト、完成です」
メインのおかず2種類と副菜3種類、あわせて5種類の総菜を日替わりで提供。値段はすべて量り売りで「100グラム198円」。
米畑恵子さん:
「高齢者の方が気楽に、少ない分でも買いやすいような、添加物の入っていない手作りの総菜が食べられる、そんな店をしたかった」
常連客「総菜も、会話も楽しい」
米畑恵子さん:
「いらっしゃいませ」
午後6時すぎ、仕事終わりの女性が店にやってきた。
「つくねが2つと」
常連客(市内から):
「ほぼ毎日といっていいほど来ています。すごくおいしくて、自分じゃ絶対にこの味作れないので気に入っています。自分の好きな数だけ買えるというのが魅力で来ています」
こちらも常連客。近所に住み、営業日はほぼ毎日来ているという。
鶏肉のオーロラ和えなど2品を購入した。
地元の常連客:
「ここに来て(店を出して)くれて、本当にありがたい、感謝していますよ。(味は?)最高、家庭の味だから。本当になじみのある、うちの家族が作ったような味だから最高です」
地元の常連客:
「助かるなあ」
米畑恵子さん:
「こちらも助かるなあ」
地元の常連客:
「きのう(店が)休みだったから、飢え死にするかと思った(笑)」
手作りの総菜だけでなく、米畑さんとの会話も客にとっては楽しみの一つになっている。
近所の常連客:
「(米畑さんとの会話は)それもいい、飯と同じように楽しい」
米畑恵子さん:
「私の推し活だからね(笑)」
料理できない時、罪悪感なく選べる
午後6時半、娘と来店したのは、長野市内に住む関谷友映さん。
母親:
「お腹ぺこぺこだもんね、へこんではないけど、へこみそうです」
娘:
「早く食べたい!」
米畑恵子さん:
「すぐ食べられるからね、そこがお総菜の良いところだよ」
母親:
「本当に助かります」
腰を痛めて、夕食が作れなくなったため、急きょ、訪れたそうだ。
娘:
「(ごはん見てどう?)おいしそうだった、ポテト」
母親:
「ごはんができないと思って、突然腰が、あれ(ぎっくり腰)で…。子どもに食べさせたいご飯を自分が作れない時に、罪悪感なく選べるのってうれしい」
その後、自宅で―。
「いただきまーす」
母親:
「それは選んだポテトです」
娘:
「最高です!」
母親:
「もう一回食べたいのはどれですか?」
娘:
「これ(鶏肉オーロラ和え)のブロッコリーがめちゃくちゃおいしかった」
家庭の味で地域の人をサポート
こども食堂と総菜店。
「家庭の味」を通じて、子どもも、大人も、地域の人たちをサポートする場所になっている。
台所ことこと・米畑恵子さん:
「少しでもお母さんたちの家事の負担が減るように、うちの総菜を買ってもらえればうれしい。子どもの心の中に、あそこへ行けば安心じゃないですが、楽しいとか安心とか、おいしいご飯がもらえるとか、そういう良いイメージを持ってくれるとうれしい」

