育児の話題をお伝えするThank you for zeroのコーナーです。
神石高原町に去年誕生した助産院で、初めて町の人が出産しました。
少子化が進む地域で、安心して子どもを産み育てられる環境づくりに取り組む現場を取材しました。
大きな声を上げて泣く赤ちゃん。
去年、神石高原町に開院した「神石のたまご助産院」で、町内に住む女性が初めて出産しました。
【馬屋原沙紀さん】
「(夫に)駆けつけてもらえますし、そういった安心感は、やっぱここの近いっていうメリットがあると思います」
実は、神石高原町は2004年の合併以来、分娩を扱う産婦人科はなく、この助産院ができるまで町内では出産ができませんでした。
【町内に住む3人の母親】
「(助産院が)できるくらいに(第三子を)産んだんですが、福山の下の方まで降りなくても身近に病院があるのはいいなあと思います」
県内では出産できる医療施設がない自治体は11にのぼります。
神石高原町でも、これまで出産するためには、車で30分以上かけて福山市の病院まで通う必要があったといいます。
去年秋に開院した「神石のたまご助産院」と「産婦人科」。
まちおこし会社の「MSERRNT」が少子化に歯止めをかけようと、町外から、医師や助産師を招いてオープンしました。
【神石のたまご産婦人科 日下剛 院長】
「地域が縮小してるってとこを変えるみたいなところの原点にしたいので、神石のたまごと名づけました」
オープンおよそ9カ月後の5月下旬、第2子の出産予定日を1週間後に控え診察に訪れた小学校教師の塚本智美さん。
神石高原町に住んでいます。
産婦人科院長の日下剛先生とお腹にいる赤ちゃんの様子を確認します。
「足ですね。これ指が見えてますね。動き出した、動き出したぞ」
長男は自宅から車で1時間ほどの福山市の病院で出産しましたが、今回はこの助産院で産む予定です。
「もう慌てなくてもいいんでゆっくり待ちましょう。赤ちゃん信じて」
「出てきてくれよ」
院では、畳敷きの個室で分娩台を使わない『自然なお産』を行っています。
併設する産婦人科と妊娠から出産まで一貫したサポートを提供します。
1週間後…。
塚本さんは無事に元気な女の子を出産。
塚本さんが出産した日には、知人も3人目の子供を出産し、同じ施設で新たな町民が2人、相次いで誕生しました。
【馬屋原沙紀さん】
「誕生日も一緒になれて、本当にさらに倍にね、嬉しくなりました」
【塚本智美さん】
「もう戦友かなぐらいに思ってます。本当にググッと強い力強くなった、近づいた感じがしますね」
この助産院で町民が出産するのは初めて。
町長も2人の祝福に駆け付けました。
【神石高原町 入江嘉則 町長】
「おめでとうございます」
神石高原町では出生数が、2004年と比べて3分の1以下にまで減少していて、去年は16人でした。
【神石高原町 入江嘉則 町長】
「町民がここで出産するのは『神石のたまご』の目的でもある。町民に利用してもらうことが実現できて本当に嬉しく思ってます」
退院の日を迎えました。
「おめでとうございます。元気に生んでくれて、体重もね早くね増えてるしね」
塚本さん夫婦は地元で出産できる喜びを改めて感じたといいます。
【塚本智美さんの夫】
「とってもかわいいです」
【塚本智美さん】
「子育てしやすいと思ってたけど、何が足りないかって言ったら、産む場所が足りなかったことをすごい感じていて。町で産んで育てられることをすごく嬉しいと思って、より子育てしやすい町、子供を大事にする町にぐっと近づいたなと思って嬉しく感じてます」
この日、産後1か月の検診でクリニックを訪れた塚本さん。
日下先生が母親と赤ちゃんに寄り添いながら診察を進めます。
「これ肺動脈が2つに分かれてるよーって。人文字」
「はい、OKです」
【日下院長】
「今、お産っていうのはどっちかというと、その集約化っていう大きな病院でお産をするっていう方向に流れが行っているんですけども、助産院っていうものの存在が今まだあると。こういうふうにやればシステムとして、こういった小さいコミュニティでも存続可能な形でお産する場所ってね、継続できるんじゃないっていうモデルにしたいな」
地元で産み育てられる町へ。
小さな命が神石高原町に大きな光を灯し始めています。
