「医経分離」取り入れる医療現場
こうした中、わずか3年で赤字を解消した病院がある。
神奈川県にある「さがみ林間病院」は、ベッド数199床の中規模病院。

さがみ林間病院・清水直史院長:
(当時の)赤字はすごいんじゃない。(年間)8億円ぐらいあるじゃない。
3年前、経営体制が変わり、医療コンサルティング会社が経営支援に入った。そこで導入されたのが、経営の専門性を持ってサポートする「医経分離」という考え方だ。

医療と経営の役割を分け、経営は専門人材が担うことで、病院運営の効率化を図っている。
収入を増やすために行ったのが、入院患者を効率的に受け入れる「ベッド稼働率」の改善。専属の看護師がベッドの稼働状況を見ながら、入院患者の受け入れ状況などをチェックする。

これまでは入院患者の受け入れは、それぞれの医師が個別に判断していたため、全体のベッドの稼働状況を把握できていなかった。集中管理することで、空きベッドの削減につなげた。
以前は50%を切ることもあったベッド稼働率は、取材時には98%となるなど劇的に改善した。
次に取り組んだのは、人件費を減らすための残業代の削減。看護師の制服を色分けした。

午後3時、看護師の制服はいずれもえんじ色。しかし、午後4時を回ると、緑色の制服を着た夜勤の看護師が登場する。このあと発生した仕事は、夜勤の看護師が行うよう、「見える化」したのだという。
さがみ林間病院の看護師:
(病院の勤務24時間いろんなことが起きますので)先生から指示がはいっても患者さんから声をかけられてしまうと、対応しなければいけない。残業に非常につながっていたという現状がある。
こうした工夫で、残業代を2割程度、削減できたという。
さがみ林間病院・清水直史院長:
やっぱり素人の我々が、いろいろ計算して、やって情報集めるより、専門家がいろんな情報を集めてやっていく方針が良い。
経営の効率化により、医療の切り捨てが生じるのではないかとの懸念について、コンサルタント会社は…。
ユカリア・ヘルスケア事業本部 黒田哲矢さん:
大原則として、地域に質を伴った医療が継続的に提供できる経営の安定(が必要)。表裏一体と言いますか、切っても切れない形なんじゃないのか。

物価や人件費の上昇に診療報酬が追いつかない中、病院の赤字解消は自助努力に委ねられている。安定した医療を提供し続けるには、制度そのもののあり方も問われている。
(「イット!」7月8日放送より)

