政府は、外国人向けのビザの手数料などを定める政令を改正し、手数料を欧米並みにまで引き上げることを決定した。

外国人政策厳格化に舵を切った高市政権

政令改正は、7月1日から適用され、1回限り入国できるビザは現在の3千円から1万5千円になる。また複数回入国できるビザは6千円から3万円に引き上げられている。

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6月19日、閣議後に記者会見で茂木敏充外務大臣は「査証手数料の額は1978年に定められたもので、現在までの物価の上昇や為替相場の変動に対応すべく今般、見直しを行った」と述べた。

日本政府は、外国人が日本に入国するために必要なビザを巡り、さまざまな面で見直しを進めてきた。

2025年10月の所信表明演説で高市早苗総理大臣は「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、不安や不公平感を感じる状況が生じていることもまた事実です。排外主義とは一線を画しますが、こうした行為には政府として毅然と対応します」と述べ、外国人に関する政策の厳格化に舵を切った。

日本政府の動きに翻弄されている外国人が福岡にもいる。福岡で起業をめざす当事者の声を聞いた。

制度変更で夢を諦めなければならないかも

福岡市に住むヤニック・クレスナ・レーベルさん(37)。出身は北欧、デンマークだ。

「ポケモンとかもよく見ました」と話すヤニックさん。アニメをきっかけに日本に興味を持ち、日本語の勉強を始めたという。旅行や短期留学で何度も来日。2年前に「日本で働きたい」と一念発起し、短期留学の経験もあった福岡で専門学校に入学した。

室内には、調味料がズラリ。料理好きのヤニックさんが日本で暮らすなかで見つけた夢が、故郷のデンマークの料理を出すレストランを福岡で開くことだ。

「デンマークの家庭料理とか、伝統的な料理を作りたいなと思っています。自分がいつも実家で食べた料理が作りたい」と店への抱負を語るヤニックさんだったが―。

このヤニックさんの夢に、突如決まった政府による在留資格厳格化の波が直撃したのだ。

特定技能『外食』 新規受け入れ停止決定

外国人が日本で起業するには『経営・管理』のビザが必要だが、政府は、このビザについて移住を目的に“ペーパーカンパニー”が設立され、制度が悪用されているとして取得要件を見直し、ビザ取得に必要な資本金を500万円から6倍もの3千万円に引き上げるなどの厳格化を進めている。

「そのニュースを聞いたら、レストランを作るのは、ちょっと無理かなって思いました」と肩を落とすヤニックさん。

しかし自分の店を開業する夢は諦めたくないと外食業界で経験を積む目的に就職活動を進め、2025年12月、福岡のレストランから内定をもらうことができた。

「日本のレストランの運営とか、日本でどういうふうに接客するとか学びたかったです」。夢に向かって一歩踏み出したかに見えた矢先、ヤニックさんを更なる試練が襲う。

外国人が日本で働くために必要な在留資格のひとつ、特定技能の『外食』について、今春、政府は新規受け入れの停止を決定したのだ。

ヤニックさんは、この在留資格を取ることを前提に内定をもらっていたため、今回の事態を受け内定が取り消されてしまった。

「いつかレストランを開きたい」

「そのビザを目指していましたから、何て言うか…、ちょっとびっくりして、突然のニュースだったから、これからどうしようか迷いました。とても怖かったです。ずっと不安な気持ちがありました」と表情を曇らせるヤニックさん。

それでもヤニックさんは、就職活動を継続するため半年間の滞在が認められるビザをなんとか取得。理想とは違う仕事でも、まずは福岡で就職し、いつかレストランを開きたいと夢を諦めてはいない。

資金力を重視し、地道に進んできた個人の夢を阻む壁となってしまっている今回の制度変更。

不正を防ぎながら意欲ある人材をどう受け入れるべきか、政府の柔軟なかじ取りが問われている。

「年齢はもうあれですけど、10年以内にレストランができれば嬉しいかなって思います」とヤニックさんは前を向いた。

(テレビ西日本)

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