図書館と言えば本を借りるところですが…島根県安来市にはさらに進化させて「くつろぎの空間」を目指す図書館があります。
利用者がゆっくりくつろげるようにと、図書館がこだわったある備品に注目しました。
安来市の市立図書館は2004年、隣接するたたら製鉄をテーマにした「和鋼博物館」の開館にあわせ移転オープンしました。
蔵書数は約17万冊。
人口1人あたりでみると、山陰の市立図書館の中ではトップクラスを誇ります。
安来市立図書館・湯浅哲司館長:
滞在型の図書館を目指していて、コンセプトは『ようこそくつろぎの活字空間へ』
館内はまるでカフェのよう、木のぬくもりを感じる読書スペースに、中海を一望できるラウンジ。
広い窓を取り入れ、四季折々の風景を楽しむこともできます。
ここに、あのこだわりの備品がありました。
岡部楓子アナウンサー:
すてきな庭園ですね。緑が眺められるんですね。そして、このきれいな景色を眺められるように色々な種類の椅子が置かれているんですね。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
実は、椅子にたくさんこだわっている。
こだわりの備品、それは…椅子!
シンプルで優しいデザインに木の質感を活かした親しみのあるフォルム、それぞれ趣が異なります。
岡部楓子アナウンサー:
ちなみに一番高価な椅子はどちらですか?
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
こちらですね。こちらはチャイナチェアという椅子で、ハンスウェグナーという方が作った椅子です。時価で言うと50万は超えるような価値の椅子。
こちらは1947年、北欧のデンマークで発表された「チャイナチェア」。
中国の椅子に着想を得てデザインされたそうです。
実はここに並ぶのは、世界各国の職人がてがけた超一流の椅子だったんです。
ヴィンテージ家具として高値が付くことも。
新品だと100万円を超えるものもあるそうです。
岡部楓子アナウンサー:
実際に座ってみてもいいですか。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
どうぞ。
岡部楓子アナウンサー:
緊張しますね。ここの腕の部分がなじむ。座り心地いいですね。座面もしっかりしている。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
最近座面を張り替えたので、それで硬いのかもしれないです。
メンテナンスも行き届いています。
岡部楓子アナウンサー:
こちらの椅子も珍しいデザインですよね。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
こちらはアルヴァアールトさんが作ったアームチェアです。
フィンランドの建築家が手がけたこちらも時価30万円を超えることがあるそうです。
岡部楓子アナウンサー:
リラックスできますね。ちょうどいい沈み加減です。
こだわりのデザイナーズチェアが館内に50脚置かれています。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
ニューヨーク近代美術館に入っている椅子たちをメインで選んで、歴史的に評価されていたり名品として、あるいは世界中で親しまれているような椅子を選んでいる。
しかしなぜ、これほどまでに「椅子」にこだわるのでしょうか…。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
(図書館に併設されている)和鋼博物館の建設を担当した宮脇檀さんという建設家の方が公共図書館にも良い椅子が必要だと唱えられた。それを聞いた市職員が図書館の建設にも携わり、こだわりの椅子を導入した。
2004年に今の施設に移転し、目指したのは「滞在型図書館」。
利用者にゆったり過ごしてもらうためには良い椅子が欠かせないと、世界各国のデザイナーズチェアが集められました。
その時価総額は数百万円、そのこだわりはしっかりアピールしたいところですが…。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
敢えて宣伝は行っていない。
なんと!こだわりの椅子は、知る人ぞ知る存在になっていたのでした…。
安来市教育委員会事務局教育部文化課・岩成なつみさん:
先入観を入れないように。自分の価値観で好きな椅子を選んでもらえたらそれが一番嬉しい。
誰にも縛られれず、心を解き放してほしい…そんな思いが込められていました。
図書館に毎日通っているという男性に、椅子の座り心地について聞いてみると…。
毎日通っている利用者:
別に悪くないです。
Q.時価50万以上って知っていた?
毎日通っている利用者:
いやそれは…あ、そうなんですか。ちょっと…えー…よくわからないですね。
頻繁に通っている利用者:
まったく知らなかった。ちょっと次回から座るのに勇気がいる。
椅子へのこだわりを初めて知ったという利用者も少なくありませんでした。
安来市立図書館・湯浅哲司館長:
本を読んでもらうのはもとより、そうでなくても庭を眺めてもらったり、そういったことで本当にゆったりとした豊かな時間を過ごしていただくというのが一番良いかなと思っている。
「本を借りる場所」から「くつろぎの空間」へ。
安来市立図書館はナイスなイスで訪れる人に「心休まる時間」を提供します。
