およそ7000万年前、この関西の地域でも泳いでいたといわれる巨大生物。大阪で見つかった化石から国内初となる新たな発見がありました。
恐竜が大地を支配していたおよそ7000万年前、白亜紀の海には獲物を狙って泳ぎ回る恐ろしい巨大ハンターがいました。海の王者モササウルスです。
このモササウルスをめぐり大阪で国内初の発見が…発掘から30年越しに“新種”の可能性があることが分かったのです。
そして、この研究の礎となったある少年の存在もありました。
取材班は長年、謎に包まれていた化石の正体と繋がれてきた研究者たちの熱き思いを徹底取材しました。
■海の王者・巨大生物「モササウルス」
大阪府貝塚市で海で遊んでいる人たちに聞いてみると、「怖い」という声や「見に行くけど絶対海入らん」といった声が…。
大きなひれを動かし、泳ぎ回る白亜紀の海に君臨した巨大生物・モササウルス。
旺盛な食欲を持ち、海中で獲物を探し回る姿は、まさに「海の王者」です。
実はその昔、大阪のこの辺りでも泳いでいたのです。そして、その新種が見つかった可能性があるといいます。
■新種とみられるモササウルスが見つかった場所には…
およそ30年前にその化石が見つかった現場に向かいました。
案内してくれたのは岡山理科大学大学院の高野恭明さん。今回、新種とみられるモササウルスを発見した研究チームのメンバーです。
【岡山理科大学大学院 高野恭明さん】「約7000万年前の海の地層で、ここから大阪のモササウルスの化石が見つかりました」
今から7000万年前、大阪は海の底にありました。そこにモササウルスやアンモナイトなど海の生き物の死骸が積み重なりました。そして、長い年月をへて日本列島できる中で、海底だった場所が陸地になったことでこの地層が現れたのです。
この地層について、「岩自体はめっちゃ硬いんですけど風化するとやわらかくなって手で割れる。(この地層は)魚の化石やアンモナイトや貝の化石が有名ですね」と高野さんは説明します。
■国内で初めてとなるモササウルスの「上あご」の化石を発見 新種の可能性も
貝塚市で見つかった化石について高野さんたちが研究を重ねた結果、国内で初めてとなるモササウルスの「上あご」の化石を発見。
さらに、脳の近くにある骨がこれまでに見つかっていたものとは違う特徴があり、新種の可能性があることも分かったのです。
この化石は現在、岸和田市の自然資料館に展示されています。
大阪出身の高野さんは地元で見つかった化石から新種発見につながる可能性について「大阪発、世界初の成果が出るのはちょっと感動しますね。やっぱ興奮しますよね」と話します。
■モササウルスでは大阪だけではなく和歌山でも発見されていた
実はモササウルスは大阪だけではなく、和歌山でも発見されていたのです。
和歌山県立自然博物館にあったのは、モササウルスの姿がはっきりとわかる巨大な全身骨格標本です。
【和歌山県立自然博物館 小原正顕学芸課長】「保存部位数がずばぬけている。歯一本見つかるだけでも割と大騒ぎになるレベルが、しっぽ以外すべて出てるというもものすごく特殊な変わり者というか…研究価値が高い存在」
■大阪のモササウルスは武闘派?
発見されたのは2006年。有田川町の山の中で背骨の一部にあたる椎骨の化石が見つかりました。
その後、周辺から次々と別の部位の化石が出土。日本では初めてとなる、全身骨格の発掘となったのです。
さらに、ひれの大きさなどこれまで発見されたモササウルスとは異なる特徴があることが分かり、3年前、新種として認定されました。
大阪のモササウルスと同じ種類なのでしょうか。
【和歌山県立自然博物館 小原正顕学芸課長】「プログナソドン(大阪の)の方は大き目の獲物とかを食べていて、骨ごとバリバリ食べちゃう。だから武闘派バリバリのタイプになるんですけど」
■和歌山で発掘されたモササウルスは穏健派?
一方で和歌山で発掘されたものは…
【和歌山県立自然博物館 小原正顕学芸課長】「メガプテリギウスの方はそういう感じではなくて穏健派。おとなしめで小魚とか追いかけて食べてたと」
そして、今回の大阪での新たな発見については…
【和歌山県立自然博物館 小原正顕学芸課長】「今回また違ったタイプのモササウルスが出てきたということで、結構興味深いし、嬉しい。すごくロマンがある。これをきっかけに興味を持ってくる人達が現れたらいいなとは思います」
■17歳でこの世を去った岸和田の若き“研究者”宮内和也さん
関西で高まる古代生物へのロマン。この研究が続けられてきた中で大きな功績を残した少年がいます。
【きしわだ自然資料館 風間美穂学芸員】「彼がやった研究があったからこそこのモササウルスのコーナーができて、きっかけをつかみ、こういうふうな大発見に繋がったんだと思われます」
岸和田の若き“研究者”宮内和也さん。モササウルスの捕食能力を解明する研究を行っていましたが、2007年、17歳のときに悪性腫瘍でこの世を去りました。
■小学1年のころから古代生物に魅了された宮内さん。大人顔負けの研究を続けた
宮内和也さんの父・信也さんに話を聞きました。
【宮内和也さんの父・信也さん】「一番の目的はやっぱり自分で恐竜化石を見つけて復元して、どういう恐竜がここでいたんだというのを全部研究して発表して、1人でも多くの人に教えてあげたいんだというのが彼の夢でしたから」
和也さんは小学1年のころから古代生物に魅了され、大人顔負けの研究を続けていたといいます。亡くなる2年前には日本学生科学賞なども受賞しました。
【宮内和也さんの父・信也さん】「どんどん体調が悪くなる一方だったので、モササウルスのこれだけは自分でやると研究をやっていました。最期までやり切りましたね、彼は」
■生涯をかけて続けたモササウルスの研究
化石採取に最後行ったのは高校2年のときだといいます。
【宮内和也さんの父・信也さん】「学会発表のときにせっかくここまで来たんやから見てみようかって。『やっぱり化石採取は楽しいわ~』って喜んでましたけどね」
生涯をかけて続けたモササウルスの研究。今回の新たな発見について信也さんは「自分がやりたかったん違います?彼のやりたかったことをこのグループがやってくれてよかったなって。ありがたいですね」と話しました。
大阪で見つかった古代の海の王者の化石。7000万年の時を超えて思いが受け継がれています。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年7月3日放送)
