コロナ禍を創意工夫で生き抜く“スピード感”

お客さんの心をガッチリつかんで好調な回転寿司店がある。そこにはコロナ禍ならではの工夫があった。

まず取材班が訪れたのは、回転寿司チェーン「スシロー」浅草吾妻橋店。

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今回のお目当ては…

北海道産のボタンエビの上にイクラをトッピングし、北海道の海の幸を贅沢に使った「海鮮てんこ盛り」(税抜き300円 ※店舗により値段が異なる)。

イカにシャリが包まれているイカめしならぬ「丸ごとイカ寿司」(税抜き150円 ※店舗により値段が異なる)。

さらに、4つのシャリで支えられた穴子をまるまる1本使った「穴子一本勝負」(税抜き480円 ※店舗により値段が異なる)。

11月11日から始まった期間限定の「北海道うまいもん市」などを目当てにランチタイムも大盛況だった。

女性客:
すごく新鮮でネタが大きくておいしいです

コロナ禍に過去最高の業績を達成した理由

実はスシロー、このコロナ禍においても先週発表した業績が過去最高を達成。9月期の連結決算で売上収益2049億5700万円を記録した。

新型コロナの影響もあり、今年4月に一度売上が前年同月比58.0%まで落ち込んだものの、そこから巻き返し10月には前年同月比109.7%にまで回復した。

売上を一気に回復させた裏には、客のニーズをガッチリつかんだある試みがあった。今年5月に店内に登場した自動土産ロッカーだ。

このロッカーは店に来る前にネットや電話で商品を注文し、受け取りたい時間を設定。店舗に来た際もロッカーから商品を受け取るだけという「非接触型」サービス。店員との接触も一切ない。

このようにコロナ禍で時代に合わせた対応を早急に実施してきたスピード感も好調の理由だという。

寿司業界の動向を分析してきた信用調査会社は、チェーン店だからこその強みもあると指摘している。

東京商工リサーチ 情報部・永木緋鶴さん:
ウィズコロナを生き抜く上で、元々の安価なお寿司に加えて、さらにキャンペーンをうったりした。そういうところが増収増益につながったのではないかと考えます

同値段でネタ2段重ね!「根室花まる」の心意気

一方、大胆なサービスで客を呼び戻すことに成功した回転寿司店もあった。

シャリと具材を絶妙な感覚で握り完成かと思いきや、寿司の上にまた一切れ具材を追加する職人。

ぷりっぷりの北海道産の「生ほたて」(税込み638円 ※天候により欠品あり)はホタテが2段。

色鮮やかな「本鮪赤身」(税込み374円 ※天候により欠品あり)もマグロが2段。

実はこちら、「回転寿司根室花まる」銀座店で始まった期間限定の「二階建て祭」。その名の通り2段重ねのお寿司となっている。開催は今回で2回目だ(11月4日~30日まで)。

コロナの影響で飲食業界が苦境の中、世の中を明るくしたいとの思いから開催されたものだという。しかも、ネタは2段なのに通常価格と同じという太っ腹なサービス。

これにはお客さんも…

男性客:
おいしいですね

女性客:
一つはそのままお刺身で食べて、あとはシャリと一緒に食べる感じで、お得かなと思いました

こちらの店は、緊急事態宣言による臨時休業のため6月から営業を再開。

しかし再開後、売上はすぐには元に戻らず半減したというが、お客さんに喜んでもらえるキャンペーンを続けた結果、売上は前年の9割ほどまで戻ってきているという。

回転寿司根室花まる 銀座店・黒澤賢太店長:
コスト的な面でもちろん不安はありましたし、今こういう時だからこそお客さんに喜んでもらえる方を選んで、この二階建てをやっています

コロナに負けじと奮発する店の心意気が、お客さんを呼び戻すことにつながっていた。

回転寿司根室花まる 銀座店・黒澤賢太店長
(回転寿司は)やはり選べる楽しさというか、何が来るか分からない中でお客さんがご家族と一緒に選ぶ楽しさみたいなのはあるんじゃないのかなと思います

年末年始も回転寿司の活躍は続きそうだ。

(「イット!」11月12日放送より)