旅行の立ち寄りスポットとして人気の「道の駅」をめぐり、茨城県那珂市で進む新設計画が波紋を広げている。地域活性化への期待が高まる一方、総事業費は当初計画から大幅に膨らみ、約43億円に達した。市民の間では賛成と反対の声が交錯し、建設の是非を問う住民投票条例案の行方にも注目が集まっている。
総事業費43億円「 道の駅」新設を巡り賛否
1日、「イット!」取材班が向かったのは、田園風景が広がる茨城・那珂市。
43億円かけて新たな道の駅が作られる見通しだ。
整備が進められているこの「道の駅」事業に今、賛否の声が上がっている。

市は常磐自動車道の那珂ICから近い、東京ドームとほぼ同じ面積に道の駅の新設する計画で、2028年度の開業を予定している。

施設には地元の名産品を使ったご当地バーガーやスイーツなどのグルメをはじめ、野菜の直売所や物産展、子供の遊び場や防災備蓄倉庫なども展開し、年間約95万人の利用者を見込んでいる。

那珂市民からは「子供たちが目いっぱい遊べる環境が増えることと、あとたくさんの人が那珂市に遊びに来てくれたらいいなって思います」「那珂市の特産品とか有名になってくれたりとか、そういうところは期待。(道の駅自体は)活性化にはいいのではないかなと思う」といった声が聞かれた。
事業費1.5倍に「負の遺産になる」反対派が住民投票
地域活性化の起爆剤として地元住民からも期待の声が上がる道の駅だが、その事業費を巡っては、当初から大きな議論を呼んでいる。
市民からは「道の駅はこの近くに何カ所かあるので、違うことに(お金を)使ってほしい。福祉とかそういうのに」「(事業費が)43億円かな。50%上がった。本当にそれで採算がとれるのかってことですね」といった声もあった。

当初の計画では総事業費約30億円だったのが、2026年3月の実施設計では43億2000万円と、1.5倍近くに膨らんだのだ。

そのうち市の負担となる税金の投入も約12億円と、2億円以上増える形になった。

こうした事態に、道の駅事業に反対する市民団体が建設の是非を問う住民投票条例の制定を求め、3700人を超える署名を提出した。

那珂市の先﨑市長は、6月29日の臨時市議会で、事業費増額の背景には中東情勢悪化による建設資材の高騰などがあるとし、こう理解を求めた。

那珂市・先﨑光市長:
基本設計時と比べ事業費は増加していますが、活用可能な国庫補助等の精査を行い、自主的な市の負担額について抑制を図っています。現在、那珂市は人口減少や産業衰退といった喫緊の課題に直面しています。次世代へ持続可能な町を引き継ぐための未来への投資であると確信いたしております」と理解を求めた。

一方、市長の訴えに、事業に反対する市民団体「道の駅を考える有志の会」の根本慎介さんは「道の駅計画の採算性や持続性を見ると大きなリスクがある。将来的にはそのリスクによって、負の遺産になるのではないかという思いがある。財政が圧迫されて市民の福祉サービスや公共のサービスにしわ寄せがくるのではないかという懸念がある」と話す。

2027年度に着工が予定されている道の駅。
建設の是非を問う住民投票条例案は、7月6日に採決が行われる。
(「イット!」7月1日放送より)

