近年、スーパーマーケットが店舗を小型化する動きが全国的に広がっている。富山県でも大手の大阪屋ショップが今年4月に新業態「大阪屋ショップGO!」を高岡市にオープンし、改装前を大幅に上回る客足を集めている。「手頃な価格で必要な分だけ」というニーズに応えるこの動き、その背景には高齢化と激しい地域競争があった。
入り口すぐに惣菜とパン、設計の"答え"がそこにある


富山県高岡市にある「大阪屋ショップGO!」は、従来の店舗を改装し、今年4月に新業態の1号店としてオープンした。地域の小さな生活エリアをターゲットに据えた店の特徴は、入り口を入ってすぐ目に入る惣菜やパンのコーナーだ。人気があり、買ってすぐに食べられるものを入口付近に配置するという設計には、短時間で買い物を済ませたい客に応える狙いがある。


価格面でも従来店舗より全般的に安く抑えており、店内の動線も見直された。冷蔵ケースは壁沿いに統一することで「どこに何があるか」が一目でわかるようになり、陳列棚の一部はワゴン式にして手に取りやすくした。こうした工夫は来店客の利便性を高めるだけでなく、店の管理コストを削減する狙いも兼ねている。

さらに、レジはセルフレジをメインとし、店員数を従来の店よりおよそ4割削減した。大阪屋として初めてダイソーと協力し、店内に百円均一の雑貨を取り扱ったことも話題を呼んでいる。

「改装前と比較しても、客数が大幅に増えている」


来店した客からは「安くていい」「だだっ広くもないし手軽に買える」「通路が広くなったのと、100均のものも置いてあるし」といった声が聞かれた。近隣住民を中心に、使いやすいと好評だ。

大阪屋ショップ業務推進部の砂原崇次長は、「非常に多くのお客様に来ていただき、改装前と比較しても、数が大幅に増えている。当初予定していた売上や客数よりも大幅に伸びている」と手応えを語る。
同じ食品スーパーのアルビスも、昨年、売り場面積を小さくして運営コストを抑えた「アルビスくらす」を富山市総曲輪にオープンさせている。周辺にはオフィスやマンションが多く、単身者や高齢者のニーズに合わせた品ぞろえで展開している。

「椅子取りゲームみたいなもん」—富山ならではの競争事情
なぜ今、各社は店舗の小型化を進めているのか。流通アナリストの中井彰人さんは、富山ならではの競争環境を指摘する。

「これはスーパーだけの動きではなく、北陸は特に、スーパーかドラッグストアか分からないような、食品を買える便利なドラッグストアがたくさんある。後発でそういう店を増やしているので、スーパーとしても店を小さくして増やすという対策を取るのは現実的」
北陸エリアでは、食品を扱うドラッグストアの存在感が特に大きく、スーパーにとっては無視できない競合となっている。小型化はそうした競争環境への合理的な応答といえる。
地方では根底にある「高齢化」

小型スーパーの波は富山にとどまらず、全国規模で広がっている。東京では大手コンビニのローソンが先月、小型スーパー「Lミニマート」を都内にオープンさせた。業態や規模の異なる企業が相次いで参入していることからも、この流れが一過性のトレンドではないことがわかる。

中井さんは地方におけるスーパー小型化の要因の一つとして「高齢化」を挙げる。「高齢化によって車の免許を返上し、遠くに行けないお年寄りの数がかなり増えてくると、今までは機動力は全体として上がっていたけれども、それがだんだんと縮小し始めている。椅子取りゲームみたいなもんで、大きな店から順に椅子が減る。それを補うために、前よりは小型の店、中型の店へシフトしていく。もうどこのチェーンでも検討されていると思う」
高齢者も多忙な世代も含め、サッと行けて短時間で買い物を完結させられる—そうした生活インフラとしての役割が、小型店舗に求められているようだ。
「基幹店」と「小型店」、二つを持ちながら競い合う時代へ

中井さんは今後の展望についてこう話す。「各社とも、地域に昔ながらの大きな『基幹店』もしっかりと構えながら、その周りに、コンビニやドラッグストアなどに対抗するための小型店を増やしていく。お互いにバランスを取りながら競い合っていくことになるだろう」
大型店と小型店を組み合わせた多層的な出店戦略が、今後のスーパー業界のスタンダードになっていく可能性がある。
(富山テレビ放送)

