明治の記憶を伝える西田千太郎旧居 令和に脚光浴び再生へ
島根・松江市にひっそりと佇む一軒の古い住宅が、今大きく注目されている。
明治の文豪・小泉八雲と親交が深かった旧制松江中学の教師・西田千太郎が実際に暮らした旧居だ。
テレビドラマ「ばけばけ」の登場人物のモデルとして脚光を浴び、クラウドファンディングでは1122人から目標の約3倍にあたる940万円余りが集まった。
老朽化が進んでいた旧居の修繕工事は6月10日に始まっていて、9月の完了を目指す。
「ばけばけ」で全国に広がる『西田千太郎』の名
西田千太郎は、明治期に松江を訪れた小泉八雲が全幅の信頼を寄せた人物として知られる。
NHKのテレビドラマ「ばけばけ」では、八雲とその妻・セツをモデルにした物語が描かれ、俳優の吉沢亮さんが演じた教師のモデルとして西田の名が広く知れ渡った。
ドラマの放送中から松江市新雑賀町にある旧居は、「ゆかりの地」として多くの観光客が足を運ぶようになり、放送が終わった今も連日、見学に訪れる人が絶えないという。
松江という地域に眠っていた歴史が、映像の力によって一気に表舞台へと引き出された形だ。

深刻な老朽化…将来活用見据え大規模修繕へ
旧居の保全に取り組むNPO「まちなかプラン」(現・一般社団法人まちなかプラン)が直面していたのは、建物の深刻な老朽化だった。
旧居は明治2年に建てられており、江戸時代の足軽屋敷の様式を色濃く残す文化財的価値の高い建物だ。
しかし長い年月を経て傷みは進み、特に瓦屋根や柱の損傷が目立つ状態となっていた。
このままでは建物の維持が難しいと判断した同法人は、今後の活用を見据えた大規模修繕を決断。
資金確保のため、2026年3月からクラウドファンディングによる寄付を呼びかけていた。

支援金は「期待以上」目標額の3倍の940万円超
結果は、関係者の予想をはるかに超えるものだった。
一般社団法人まちなかプランの今岡克己理事長は、「期待を大きく超えて、目標の3倍ほどの金額を集めることができた」と振り返る。
最終的に集まったのは、1122人からの940万円余り。
ドラマ効果が全国各地の支援者の心を動かしたことは間違いない。
返礼品や手数料などの経費を差し引いた500万円余りに、別途寄せられた募金約200万円を加えた資金が今回の修繕費用に充てられる。
今岡理事長は「多くの人たちが関心をもってくれたことに感謝です。屋根瓦、雨漏りを直すところからですが、精いっぱい頑張りたいと思います」と意気込みを語った。

1000人超の思い受け…松江の新たな観光資源へ
修繕工事は6月10日にスタートし、9月の完了を予定している。
江戸時代の足軽屋敷の様式を残すこの建物は、文化財としての価値も高く評価されており、修繕後は、松江の新たな観光資源としての役割も期待される。
かつての松江城下の一角に立ち、小泉八雲が愛したこの地の空気を今に伝える西田千太郎の旧居。
1000人を超える人々の思いを受けて、その姿が再び蘇ろうとしている。


