島根県出雲市の木村悦子さん。現在97歳にして現役の水泳選手です。
2年前は95歳の時に平泳ぎで年代別世界記録を更新しました。
その木村さんが新たな記録にチャレンジ、その様子に密着しました。

出雲市多伎町の木村悦子さん(97)。
20年ほど前に夫に先立たれて以来、1人で暮らしています。
木村さんと出会ったのは2年前、95歳のとき。
耕運機を自在に操って…自家製の野菜で自炊生活。
時には相棒のミニバイクにまたがります。

そんな木村さんの生きがいは…水泳!
60歳から本格的に泳ぎ始め、部屋には数えきれないほどの賞状とメダル!
国内外の大会で獲得してきました。

木村悦子さん:
これが世界記録の分で、あっちがロシアの世界大会の分。

そして2年前、愛媛県で開かれたマスターズの大会に出場。
女子平泳ぎの95歳から99歳の部の50メートル、100メートル、200メートルの3種目で世界記録を打ち立てました。
まさに「スーパーおばあちゃん」ですが…。

2025年1月に相棒のバイクで転倒し、右ひざの半月板を損傷。
歩くことすらままならなくなりました。

木村悦子さん:
もう泳げんようになるかもしれない。

さらに心臓の持病が悪化。
白内障に腎不全など、体のあちこちに不調が出て、入退院を繰り返していました。
文字通り「満身創痍」ですが、それでもプールから離れることだけはできませんでした。

木村悦子さん:
いきいきとしたような気がする。
やっぱり自分の好きなことだから。

今も出雲市内のプールに週に1~2回通い続けています。


木村悦子さん:
目標が無いまま泳いでも面白くない。(今まで)短水路ばっかりで、長水路やってみようかなと思って。

木村さんの世界記録は「短水路」、25メートルプールで出したもの。
それを全く別の種目ともいえる「長水路」50メートルプールで狙います。
木村さんにとって未知の世界ですが、97歳にして新しい目標を見つけました。

記録を狙う大会を前に最後の練習に臨み、タイムを計測すると…1分27秒を記録。
目指すのはカナダの選手がもつ世界記録「1分38秒21」。
25メートルプールではありますが、10秒も上回りました。

JSS出雲 川上浩之コーチ:
今のタイムで確信ですね。大丈夫でしょう。
ひょっとしたら世界記録を抜けるかもしれない。
ぶっつけ本番です。

木村さんが世界記録に挑むのは、6月14日に広島市で開催されたマスターズの公認大会。
800人を超える参加者が年代別にタイムを競います。

ただ練習用のプールに入りアップを始めたものの…木村さんの様子が少し変です。

木村悦子さん:
きつい…心臓が苦しい。慣らさないといけない。

心臓への負担が大きいようで息が切れてしまい、何度も泳ぎが止まってしまいました。
50メートルを泳ぎ切ることができないままレース本番に臨むことになりました。

木村 悦子さん:
向こうへ着くかどうか分からん(笑)…きついな、なんでだろう。
この度は緊張しているの、世界記録狙おうと思ってるからね。
でも年が年でしょ…。

不安が残る中、まもなくスタート…。
同じレースに出場するのはほとんどは70代から80代、木村さんは最年長です。

しかも50メートルプールで練習したことはなく、まさにぶっつけ本番の挑戦です。

場内アナウンス:
「ただいま第9レーンで泳ぎます木村さんは、95歳区分の世界記録1分38秒21に挑戦中です。」

出だしは順調でしたが、疲れのせいか徐々にペースダウン。
それでも…泳ぎきってみせました。

場内アナウンス:
「ただいま第9レーンを泳ぎました木村さん、1分26秒45は95歳区分の世界新記録です!」

タイムは1分26秒45。
10秒以上もタイムを縮める世界新記録です。

木村 悦子さん:
(新記録が)でましたね!ガッツポーズ。
ありがとうございます、ピース。

木村 悦子さん:
頑張りました!頑張りましたよ。
安心したのと、これで終わったという気持ちで複雑です。

97歳にして、新たな記録を達成した木村さん。

木村悦子さん:
本当にこれで安心して“三途の川”へ…今度は“三途の川”だけん」

とは言いつつも、新しい目標に向かって再び泳ぎ始める日も近いかもしれません。

TSKさんいん中央テレビ
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