「実際ににおいを嗅いでいただいていいですか」—そう言って差し出されたのは、家庭から出たプラスチックごみを原料に作ったごみ袋だ。嗅いでみると、においはしない。ごみから生まれた製品とは思えない仕上がりだ。

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中東情勢の悪化を背景に、石油由来のナフサを原料とするプラスチック製品が供給不足に陥るなか、富山市にある富山環境整備のリサイクル技術が全国から熱視線を集めている。この1年で全国30近くの自治体から問い合わせが寄せられるという、その取り組みの中身に迫った。

「ごみからできたごみ袋」の実力

富山環境整備が製造するのは、リサイクルしたプラスチックごみを原料としたごみ袋だ。色は従来品と比べてやや緑がかっているものの、強度は変わらない。

原料となるのは、冷凍食品の袋やトレイ、パックといった家庭から排出されるプラスチックごみである。工場には県内外から1日におよそ200トンのプラスチックごみが運び込まれ、素材ごとに選別したあと細かく砕いて洗浄し、「リサイクルペレット」へと加工される。

1日に製造できるリサイクルペレットはプラスチックごみの半量にあたるおよそ100トン。ごみ袋1枚に使われるペレットはおよそ30グラムであるため、1日に県内で消費される1カ月分のごみ袋を製造できる計算になる。

25年の技術蓄積が実を結んだ

富山環境整備がプラスチックリサイクルに取り組み始めたのは、今から25年前のことだ。松浦志帆子常務は「量と質の面でも日用品として使えるレベルになってきていますが、価格やイメージによってなかなか浸透してきませんでした」と振り返る。

長年の課題のひとつが、プラスチック製品に貼られたラベルなどの紙が不純物となり、製品化を難しくしていた点だ。しかし近年、分別や洗浄の技術が向上したことで、においや異物の混入を大幅に減らすことに成功した。冒頭のにおいのないごみ袋は、その技術革新の象徴といえる。

中東情勢が影響

状況を大きく変えたのが、中東情勢の悪化だ。石油由来のナフサを原料とするごみ袋やプラスチック製品の多くが供給不足に陥るなか、国内で安定的に原料を調達・製造できる同社の強みが一気に注目されるようになった。

松浦常務は「中東情勢の悪化をはじめとした資源不足・ナフサ不足を契機に、ごみ袋としての活用についてお問い合わせをいただいています」と語る。この1年で全国30近くの自治体から問い合わせがあり、県内外での採用も進んでいる。

強みとして松浦常務が強調するのは、供給の安定性だ。「国内で製造できるというところと、材料が安定的に供給できるというところが強みかなと思っています」。外部環境に左右されない製造体制こそが、今の時代に求められる価値であると同社は考えている。

価格と「イメージ」という壁

課題がないわけではない。ごみ袋の多くは海外で生産されているため、国内生産の再生プラスチック製ごみ袋はどうしても価格が割高になる。また、松浦常務は「ごみからできたもので作られているというのが、あんまりきれいじゃないのかなとか、好んで買われるシーンはあんまりないと思う」と率直に認める。

それでも、外部環境に左右されない供給力は、自治体や企業にとって無視できない価値を持ち始めている。品薄が続く状況下で、安定供給できる国内製造品への需要は今後さらに高まっていくと見られる。

文房具やスポーツ用品へ 広がる可能性

富山環境整備が描く未来は、ごみ袋にとどまらない。今後は文房具やスポーツ用品など、さらに幅広い製品の開発に取り組む方針だ。

松浦常務はリサイクル材の役割についてこう語る。「リサイクル材として代替できるところは製品をどんどんリサイクル材を使わせていただいて、本当に必要なところ、例えば医療品だったり食料品を包むものはバージン材(新品)を使っていただいて、リサイクル材はこういった許容できるところで使ってもらうのが今、必要だと思います」。

用途に応じてバージン材とリサイクル材を使い分けるという考え方は、資源全体を効率的に活用するうえで合理的な視点だ。

富山から始まる「外部環境に左右されない社会」

中東情勢という外圧が、国内のリサイクル産業に光を当てた。富山環境整備の取り組みは、廃棄物を価値ある資源へと転換するだけでなく、海外の情勢や資源価格の変動に依存しない、持続可能な供給体制を地域から構築しようとする試みでもある。

(富山テレビ放送)

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