首都直下地震への備えが、いま大きな転換点を迎えている。

通電火災を防ぐ「感震ブレーカー」

政府は、2026年6月12日、マグニチュード7クラスの首都直下地震に備える今後10年間の防災対策をまとめた基本計画を改定した。

中核の一つに位置づけられたのが「感震ブレーカー」の普及だ。

感震ブレーカー DCM大井競馬場駅前店(東京・品川区)にて
感震ブレーカー DCM大井競馬場駅前店(東京・品川区)にて
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地震の強い揺れを感知して自動的にブレーカーを落として電気を遮断する感震ブレーカーは、停電が復旧した後に発生する通電火災を防ぐ切り札とされる。

2025年12月に公表された首都直下地震の新たな被害想定では、19パターンのうち最も大きな被害が想定される都心南部直下地震が起きた場合、最大で死者約1万8000人、建物の全壊・焼失約40万棟、避難者約480万人、帰宅困難者約840万人、経済的被害約83兆円と示された。

政府の試算では、首都直下地震における人的被害の約7割が火災に起因するとされているが、2024年度時点での感震ブレーカーの設置率はわずか2割にとどまる。

政府は想定されている被害を「半減以上」にするため、感震ブレーカーの設置率を、2割から「概ね設置」という水準まで引き上げる方針だ。

計画改定から10日後に視察

こうしたなか、計画改定から10日後の6月22日、赤間二郎防災担当大臣は東京・品川区のホームセンター「DCM大井競馬場駅前店」を訪れ、感震ブレーカーの販売状況を視察した。

赤間防災担当大臣と石黒靖規DCMホールディングス代表取締役社長兼CEO
赤間防災担当大臣と石黒靖規DCMホールディングス代表取締役社長兼CEO

店内では、防災用品売り場が、
A:事前準備(命を守る備え)、
B:在宅避難(自宅で過ごす備え)、
C:避難所・避難場所(避難先で困らない備え)、
D:復旧(片付け・直す備え)
といった4つのフェーズに分けて構成されている。

赤間大臣は「分けてもらえるとわかりやすい」と応じた。

赤間防災担当大臣に説明する松橋弥生DCMホールディングス執行役員(経営戦略・広報担当)
赤間防災担当大臣に説明する松橋弥生DCMホールディングス執行役員(経営戦略・広報担当)

店内では感震ブレーカーの動作も確認。コンセント型の製品には、揺れを感知してから数分後に電気を遮断するタイプもある。

赤間大臣は「揺れてすぐに暗くなると、それはそれで困るものね」と述べ、実際の生活場面を踏まえた機能に理解を示した。

感震ブレーカーのデモ機を揺らす赤間防災担当大臣
感震ブレーカーのデモ機を揺らす赤間防災担当大臣

実際、需要はすでに動き始めている。

DCMによると、政府の計画改定を受けて、感震ブレーカーの売り上げは前年同週比で5倍以上に急増した。

赤間防災担当大臣(右)と石黒靖規DCMホールディングス代表取締役社長兼CEO(左)
赤間防災担当大臣(右)と石黒靖規DCMホールディングス代表取締役社長兼CEO(左)

視察に同行したDCMホールディングスの石黒靖規社長(日本DIY・ホームセンター協会副会長)は「業界一丸となって、防災用品、特に感震ブレーカーの普及に努めていきたい」と強調した。

石黒氏は「私たちは在庫を多く抱えることができる。ホームセンターに行けばほしいものが手に入るという安心感を提供することで、地域の皆様に貢献したい」と延べ、供給体制の強化にも言及した。

“見えにくい火災リスク”とどう向き合うか

首都直下地震はいつ起きてもおかしくない。その被害の様相を大きく左右するのは、発災後ではなく、発災前の備えだ。

政府は「防災を日常に」と打ち出している。感震ブレーカーが「当たり前の備え」になるかどうか、被害を減らすカギとなる。

百武弘一朗
百武弘一朗

災害対策チーム 1986年11月生まれ。國學院大學久我山高校、立命館大学卒。社会部(司法、警視庁、宮内庁、麻取部、遊軍)、夕方ニュース(ディレクター)、FNNバンコク支局、FNNプロデュース部を経て現職。