ことしの夏、蚊が大量発生する悪い意味で“当たり年”を迎える可能性が高くなっています。
5月の早い段階から蚊の発生が確認され、街では「ことしは早い」と感じている人が相次いでいます。
専門家たちはいずれも、今後さらに蚊の数が増えると予測しており、身の回りでの対策が例年以上に重要になりそうです。
その対策として有効なのは、幼虫・ボウフラの繁殖を抑えるために「数日に1回、庭やベランダにたまった水を捨てる」ことで、大きな効果が期待できるそうです。
また血を吸うのは産卵にタンパク質が必要なメスだけ、爪で刺されたところにバッテンを付けてもかゆみは治まらない、など蚊にまつわるアレコレを徹底取材しました。
■「非常に増えてしまうと考えられる」 なぜ今年は早いのか
「キンチョー」ブランドで知られる大日本除虫菊の広報室・加原朋子課長代理は、ことしの発生が早まった主な原因として、5月の気温を挙げます。
【KINCHO広報室 加原朋子課長代理】「特に5月の時点で、非常に蚊にとって都合のいい天気になったというのが一番の原因です」
気温の上昇が蚊の活動サイクルを前倒しにしたということです。
さらに、今後の大量発生につながりうるもう一つの要因があります。
加原課長代理は「弱い雨が時々降って、水たまりが維持されて、蚊の幼虫であるボウフラが“いい感じ”に育ちきった」と説明します。
大雨が少なかったことで、本来なら流されるはずのボウフラが育ち、その結果として成虫の数が一気に増えるリスクがあるということです。
■「10階でも15階でも生息があり得る」 身近に潜む発生源
蚊の大量発生は、一軒家の庭だけの問題ではありません。
ボウフラの駆除などを手がける業者の人と住宅の周囲を確認したところ、わずかな水たまりにもその姿が見つかりました。
【ダスキンテックターミニックス 田中英二代表取締役】「水が動かない状態になると、やっぱり蚊は寄ってきて、そこで産卵を繰り返します」
蚊は1回の産卵で50から300個ほどの卵を産み、10日ほどで成虫となります。ペットボトルの蓋にたまった程度のわずかな水でも、繁殖の場となりうるというのです。
マンションでも事情は同じです。
ベランダの排水溝は詰まりやすく、そこに滞留した水が繁殖の温床になるそうです。
【ダスキンテックターミニックス 田中英二代表取締役】「上の階に上がったやつも繁殖を繰り返して、さらに上の階に上がります。こうなると10階でも15階でも生息があり得る」
■「数日に1回、たまった水を捨てる」 まず発生源を断つ
こうした状況への対策は「水を捨てること」です。
数日に1回、庭やベランダにたまった水を捨てるだけでも、繁殖を一定程度抑えられるといいます。
それが難しい排水溝などには、ホームセンターで購入できる網戸用の素材を切ってふさぐ方法が効果的だということです。
ただし、「蚊の行動範囲が大体50メートルから100メートルぐらい。一軒だけやって全部防げるかと言われれば、そういうものではない」とも指摘していて、ある程度は防げるものの、蚊の発生を「ゼロ」にすることはできません。
■血を吸うのはメスだけ 刺されるとかゆい理由
そもそも、なぜ蚊は人の血を吸うのでしょうか。
虫を飼育して28年のアース製薬研究開発本部・有吉立研究員によると、蚊はオスもメスも花の蜜などから糖分を摂取して生きていますが、血を吸うのはメスだけだそうです。
【アース製薬研究開発本部有吉立さん】「メスは卵を産むためにたんぱく質が必要で、人とか動物の血を吸っていきます」
刺された際にかゆくなるのは、蚊が痛みを感じさせないために唾液を注入するためです。その唾液に対するアレルギー反応として、かゆみが生じるということです。
蚊の成虫の寿命はおよそ1カ月。その間、血を吸って卵を産むというサイクルを繰り返します。吸血されることは、かゆみという不快感だけでなく、蚊の増殖にも直接つながっているのです。
■「体温が高い人、黒っぽい服を着ている人が狙われやすい」
蚊に狙われやすい人には一定の傾向があると、有吉研究員は指摘します。
「体温の高い人、汗のにおいのする人、蚊は黒い色が好きなので、黒っぽい服を着ている人が狙われやすい」とのことです。
また、子どもや妊婦、アルコールを飲んだあとの人も標的になりやすいといいます。
フローラル系の柔軟剤のにおいも蚊を引き寄せる要因になるとされており、服装や体臭の管理が間接的な対策につながるということです。
■”爪でバッテン”はかゆみを治めない 蚊にまつわる誤解
蚊に刺されたときに、爪で『バッテン』をつけるとかゆみが治まったという経験はありませんか?これ実際に効果はあるのでしょうか?
有吉研究員によると…。
【アース製薬研究開発本部 有吉立研究員】「一旦、痛みでかゆみが治まったような気もするけど、治まってなくて、脳の中でかゆみより痛みの方が大きいから、かゆみが治まっているだけ」
また、刺されたときに筋肉に力を入れると蚊が逃げられなくなるという俗説についても、「蚊の針はめちゃくちゃ細いので、力を入れたくらいでは」と有吉研究員は否定します。蚊の針は細くて短く、そもそも筋肉まで届かないのだということです。
■刺されすぎると「かゆくなくなる」? 意外なデータ
では、たくさん蚊に刺されると、だんだんかゆみを感じなくなることはないのでしょうか?
これもアース製薬の有吉研究員に聞くと、たくさん刺されている研究者でも「普通にめちゃくちゃかゆい」のだそうです。
ただ、こういったことが前提としてありつつ、「たくさん刺されるほど、かゆくなくなり、年を取ると反応が弱くなって、かゆくなくなる」というデータもあるのだとか。
いずれにしても大量発生となりそうな今年は、対策が必要になりそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2026年6月18日放送)
