「消防士」から「警察官」に転身
夏の登山シーズンを前に、石鎚山で行われた愛媛県警の山岳救助訓練。
現場で奮闘する1人の新人隊員に密着した。
新人・鈴木大輝隊員は、実は元消防士。
「助けられる側からしたら、しんどい辛そうな顔をした隊員が来たら、ちょっとこの人大丈夫かと思う」
重さ40キロの装備を背負いながらも、その表情は終始穏やかだった。
配属されたばかりの新人隊員・鈴木大輝さん
標高1982メートル、西日本最高峰の石鎚山。
多くの登山客が訪れるこの山を舞台に、6月10日、愛媛県警の山岳救助訓練が行われた。
参加者のひとり、機動隊所属の鈴木大輝さん・30歳。
この4月に配属されたばかりの新人隊員で、初めての山岳救助訓練だ。
県警機動隊・鈴木大輝隊員:
「今だいたい40キロくらい背負っています。ほどよく重い感じで、全然まだまだ大丈夫です」
担架やロープなど救助に欠かせない重い機材を背負って登山道を進むが、その表情には余裕がうかがえる。
実は鈴木隊員、前職は消防士。
高校卒業後に地元を離れ、約7年間、救助隊を中心に活動してきた。
しかし、結婚し子供が生まれたことをきっかけに「地元で、人のために働きたい」と決意。
同じく命を守る仕事である警察官へと転身した。
鈴木隊員:
「自分らは登るだけではなくて、登って人を助けて医療機関に引き継ぐまでが仕事ですので、このくらいでは全然まだまだ大丈夫です」
消防救助の現場で培ってきた体力は、確かな強みとなっているようだ。
山岳警備救助隊・影野裕和副隊長:
「私が知っている限りは、かなり珍しい経歴かと思います。ロープワークとか機材の取り扱いとか習熟しているところがあるので、機動隊の勤務にも直結するところがあります」

滑落や道迷いなどの遭難事故は後を絶たない
比較的登りやすいため、毎年多くの登山者が訪れる、人気の石鎚山。
一方で、滑落や道迷いなどの遭難事故は後を絶たない。
2025年、県内では30人が山で遭難したが、このうち20人が石鎚山系。
原因で最も多かったのは「滑落」、次いで「道迷い」そして、「疲労」だ。
鈴木隊員:
「大きく足を出すんじゃなくて、足場を確かめながら小股で歩いていくと疲れにくいですし、滑落とかの事故も未然に防止できると」
訓練のメインは滑落事故を想定した救助。
足場が悪く、木々が生い茂る急斜面。ロープ1本を頼りに隊員たちが降りていく。

危険が伴う厳しい現場でも、表情は変えない
消防時代からロープを使ったレスキューを得意としてきたという鈴木さん。
落ち着いた動きで斜面を上り下りする手順を確認した。
危険が伴う厳しい現場でも、表情は変えない。
鈴木隊員:
「助けられる側からしたら、しんどい辛そうな顔をした隊員が来たら、ちょっとこの人大丈夫かと思うので、要救助者に対しても全然大丈夫なんでという安心感を与えるために、(辛い顔を出さない)心がけでやっています」
消防で培った経験を胸に、警察という新たなフィールドでの飛躍を誓う。
鈴木隊員:
「消防から来たということで、災害関係どんだけできるんなかなという目で、職場の同僚からも見られていると思いますので、そこらへん期待に応えれるように、前職で学んだことを、今の警察でもしっかり生かしていきたい」
隊員たちは3日間に渡る訓練を終えた。
まもなく迎える夏山シーズン。
険しい山の中で命をつなぐために、隊員たちの備えは続く。


