富山県で見られる不思議な地名。「蛇喰」「蟹寺」—読むのが難しいその地名の由来には、大蛇を丸ごと飲み込んだおばあちゃんの伝説や、村人を苦しめた妖怪カニの退治譚が存在していた。単なる難読地名ではなく、そこには、時代を超えて語り継がれてきた地域の記憶が息づいている。

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「蛇喰」―南砺市に残る大蛇伝説

南砺市に「蛇喰」という地名がある。読み方は「じゃばみ」だ。

地元の市民センターによると、「この地域に大蛇伝説があって、それで蛇喰と名付けられた」という。伝説の詳細を知る人物として紹介されたのが、蛇喰地区にある正覚寺の住職・藤井加代子さんだ。藤井さんは地域の昔話を子どもたちに伝えるため、紙芝居を自ら制作している。

その紙芝居で語られる物語はこうだ。ひとりのおばあちゃんが畑を耕していると、背後にぞっとするような気配を感じた。振り向くと、大きな大蛇がのっそりと姿を現していた。

おばあちゃんはひるむことなく大蛇に向かって言った。「お前ほどの大蛇なら何にでも化けられるだろう」—そして小さな大豆に変身するよう頼んだ。大蛇は言われた通りに大豆へと変身した。すると「おばあちゃんはにっこりと笑ったかと思うと、大蛇が元に戻らないうちに、慌ててさっと大きな口を開けて、もぐもぐもぐもぐ噛み潰して、ごくんと飲み込んでしまいました」。

機転を利かせたおばあちゃんが大蛇を退治するというこの話が、「蛇喰」という地名の由来となった。藤井さんは「少しでも昔の地名のいわれを知っていただければありがたいし、だんだん昔話がなくなっていくのがとても寂しいから、子どもたちに分かりやすく書いた」と語る。南砺市蛇喰は今も大蛇伝説が残る歴史ロマンあふれる地区だった。

「蟹寺」—カニの妖怪を退治した和尚の話

岐阜県との県境に近い富山市には、「蟹寺」(かにでら)という地名がある。地元の人に尋ねると、「昔、おばけのカニがいて、そのカニがお寺との関係があって『蟹寺』と改名した」「向こうの田んぼに大きいカニがいて村人を困らせていた。寺の和尚がカニを退治して蟹寺という名前がつけられた」という答えが返ってきた。

地元の公民館には、大きなカニの絵が飾られていた。伝説によれば、村のはずれにあった大きな池のほとりに慈眼院というお寺があり、その池にカニの妖怪が棲みついて夜な夜な村人を苦しめていたという。

この話を聞いた富山の海岸寺という寺の住職がこの地を訪れ、カニの妖怪と禅問答を交えた末に見事退治することに成功した。村人たちはその功績を称え、慈眼院を「蟹寺」と呼ぶようになった—これが地名の由来だ。

地名に眠る歴史ロマン

何気なく読んできた地名も由来をひも解けば、そこには地域の人々が長い時間をかけて語り継いできた物語が詰まっていることもある。

富山の難読地名の裏には、こうした歴史ロマンがまだまだ眠っているかもしれない。

(富山テレビ放送)

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