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科研費の申請時期が近づくたび、多くの研究者が向き合うものがあります。
それは、研究テーマそのものではなく、研究の意義や方法、独創性、実現可能性、これまでの研究成果を限られた紙面の中で的確に伝える「研究計画調書」の作成です。
文部科学省の調査では、大学等教員全体の研究活動に対する年間従事割合は32.2%とされています(図1)。 また、競争的資金等の外部研究資金獲得に必要な申請業務については、平成30年度から令和4年度までの5年間で、平均99.0時間を費やしていると示されています(図2)。
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図1:大学等教員の研究活動時間割合は長期的に低下傾向にある
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図2:大学教員は5年間で平均99.0時間を申請業務に費やしている
研究者は、研究時間を増やしたい。研究資金も確保したい。
しかし、研究資金を得るための申請業務に時間をかけるほど、研究そのものに使える時間が減ってしまう。この矛盾を少しでも解きほぐすことが、ToraPlanの出発点でした。
便利なだけでは意味がない。研究者から言われた「採択される申請書でなければ」という言葉
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ToraPlan開発時に参考にした書籍
ToraPlanの構想段階で、私は国立大学に勤務する文系領域の研究者の方に、サービスのアイデアを相談しました。
そのときにいただいた言葉が、開発の方向性を大きく決めることになりました。
研究者目線で本当に嬉しいのは、単に業務量が減ることではありません。ToraPlanで作った申請書が採択に近づくことです。採択されないのであれば、いくら便利になっても意味がないと思います。
この言葉を聞いて、ToraPlanは単なる“申請書作成の効率化ツール”では不十分だと感じました。
もちろん、科研費の採択は審査によって決まるものであり、プロダクトが結果を保証できるものではありません。しかし、研究者が求めているのは、ただ早く文章ができることではありません。限られた時間の中で、研究の価値がより伝わる申請書を作り、採択を目指せる状態まで申請書を磨き込むことです。
AIでそれらしい文章を作るだけであれば、一般的な生成AIでも可能です。
しかし、科研費の研究計画調書として本当に使える文案にするには、自然な文章であるだけでは足りません。研究の背景、問い、方法、独創性、先行研究との関係性、研究遂行能力を、限られた紙面の中で審査者に伝わる形に整理する必要があります。
ToraPlanの開発では、採択される申請書とはどのような要素をどのような構成で記載されているのかを整理し、その整理した構成で申請書を出力することを重視しました。
AIに慣れた研究者ほど、フォーム入力を重く感じる
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対話しながら研究計画調書に必要な情報を整理できるチャット形式へ変更
ToraPlanの初期モックでは、研究概要、研究方法、研究計画など、研究計画調書に必要な情報を入力欄ごとに整理したフォーム形式のUIを想定していました。
しかし、日常的にAIを使いこなしている理系領域の研究者の方にモックを見ていただいた際、その設計に対して重要な指摘をいただきました。
AIをすでに使いこなしている研究者の目線では、入力欄がいくつも並ぶフォーム形式は、かえって入力を重荷に感じる。AIとのやり取りは、最初から完成された情報を入力するものではなく、断片的なメモや考えをもとに、対話しながら整理していく体験に近い。
この意見を受けて、ToraPlanでは入力体験を見直しました。
研究概要、研究方法、研究計画といった情報を最初からすべて埋めてもらうのではなく、チャット形式でAIと対話しながら、研究計画調書に必要な情報を自然に整理できる設計へ変更しました。
この変更で目指したのは、研究者に「入力作業をしている」と感じさせないことです。
研究者がまず研究テーマの概要を話し、AIとの対話の中で研究方法や計画、先行研究との関係性を補足していく。その過程で、研究計画調書に必要な情報が少しずつ集まり、申請書としての骨格ができていく。
ToraPlanは、研究者に情報を入力させるためのツールではなく、研究者の構想を引き出し、申請書の形に整えていくための支援ツールです。
フォーム形式からチャット形式への変更は、その思想をプロダクト体験に反映するための大きな転換点でした。
令和9年度科研費公募を見据え、対象種目を順次拡大
現在、ToraPlanは、基盤研究(B)、基盤研究(C)、若手研究、挑戦的研究(萌芽)の研究計画調書に対応しています。
今後は、基盤研究(S)、基盤研究(A)、挑戦的研究(開拓)、研究活動スタート支援、奨励研究など、対応する研究種目を順次拡大していく予定です。
また、AIが作成した文案をもとに研究者自身が修正を加えた最終版の研究計画調書について、多角的にレビューする機能の追加も予定しています。
研究を支える人たちのためのインフラへ
ToraPlanのミッションは「Empowering Innovation」です。
イノベーションを推し進めていくにあたり、研究計画調書の作成は、研究の入口にある重要なプロセスです。
その入口で生じる負担を少しでも軽くし、研究者が自らの問いと向き合う時間を増やす。ToraPlanは、研究者と大学・研究機関の双方に寄り添う研究支援サービスとして、研究活動を支える新しいインフラを目指していきます。
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