巨大な色のないテーマパーク。
“夢の国”になるはずの場所は荒れ果て、廃墟と化していました。
今、中国で何が起きているのでしょうか。
取材班が向かったのは中国南部の貴州省貴陽市。
“夢の国”の入り口にあったのは、お城の形をした入場ゲートです。
そして、私たちの前に現れたのは巨大テーマパーク。
建物の色は比較的きれいですが、雑草が生い茂っていて、まさしく廃墟のような状況です。
誰か入ってきた人が描いたのでしょうか、“夢の国”には似つかわしくない落書きが壁に描かれています。
絵本の世界から飛び出したようなメルヘンチックな街並みは無残な姿となり、辺りは不気味な雰囲気が漂っていました。
建物の内部を見てみると、コンクリートがむき出しとなり、床にはがれきやガラスが散乱。
さらに、服や布団が捨てられていました。
また、マンホールがふたのないまま放置されていて、危険な状態です。
崩れ落ちた階段、何者かが侵入したのでしょうか、バーベキューをした跡が残されていました。
このテーマパークは一度もオープンすることなく、未完成のままで放置されていたのです。
東京ディズニーランド1.5倍以上という広大な敷地に広がるテーマパーク。
世界最大級の不動産会社・恒大グループが9年前、年間2000万人の来場者を見込み、テーマパークとマンションなどが一体化した巨大複合施設を開発しました。
しかし、中国の不動産バブルが崩壊。
経営難に陥った恒大グループは5年前、“夢の国”の工事の中断を迫られました。
廃墟化したテーマパークのすぐそばに完成した高層マンションの価格は暴落することに。
マンション住民:
中国でも指折りの観光都市になると説明されました。誰かが開発を立て直し、整備してくれることを願います。
計画途中で工事が中止となったため、完成していないマンションもあるといいます。
マンション住民:
私たちはまだ運がよかった、ちゃんと家を受け取れましたから…。多くの人がお金を払ったのに家を受け取れませんでした。
地元の不動産業者によると、マンション価格は約60%値下がりしたといいます。
荒れ果てたテーマパークの敷地内からは、明るい音楽が流れるところが。
細々と営業をしていた小さな遊園地。
この時の客は親子2人だけで、貸し切り状態となっていました。
恒大グループが手掛けていたテーマパークは、少なくとも全国15カ所で廃墟となって残っています。
続いて取材班が向かったのは、中国南部の海南省。
ここには恒大グループ最大の負の遺産が残されていました。
「海花島」と名付けられた東京ディズニーランド15個分の巨大な人工島を作ったのです。
約3.8兆円を投資して“中国版ドバイ”を目指す計画でした。
しかし、一度もオープンすることなく、入り口までしか入ることができません。
豪華なゲートは閉ざされたまま。
人けはほとんどなく、“中国版ドバイ”にはほど遠い現状です。
島でひときわ目を引く建物は、未完成のまま残された“国際会議センター”。
中をのぞくと、工事の途中で放置されたままで、机がひっくり返り、物が散乱していました。
価格が暴落した島のマンションにはどんな人が住んでいるのでしょうか。
海花島には、中国北部の名物料理のお店が並んでいます。
格安の家賃にひかれ、寒さの厳しい東北地方出身の人たちが憧れの南国暮らしのため移り住んだといいます。
東北地方から移住した人は「親戚もみんなこちらにいます」「老後の生活のために来ています」などと話していました。
恒大グループの負債は3年前の時点で約50兆円まで膨れ上がり、会社はその後、上場廃止となりました。
中国の不動産不況の出口は見えていません。
