猛暑の夏、「プールに入っているときよりも、暑さの中帰るのが一番危険」—そんな声が、富山県内の学校現場から上がっている。年々厳しさを増す暑さと、教員の管理負担という二重の課題を前に、学校のプールを廃止し、水泳の授業を市民プールへ移す動きが県内各地で広がっている。

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使われなくなったプール、その理由

湖南小学校 氷見市飯久保
湖南小学校 氷見市飯久保

氷見市湖南小学校には、今もプールが残っている。しかし、現在は使われていない。

全校生徒134人のこの学校は、おととしから学校での水泳の授業を取りやめた。背景にあるのは、年々深刻化する夏の暑さだ。

水泳の授業が行われる5月から10月の期間中、去年、富山県内では「熱中症警戒アラート」が28回発表された。県内では、このアラートが発表された場合や、気温・湿度などをもとにした「暑さ指数」が基準値の31を超えた場合、水泳の授業や外での部活動を中止することとしている。

氷見市教育委員会の西裕之参事はこう話す。「近年の猛暑への対応が大変問題になっているので、学校プールがあってもなかなか入れないという現状がある」。

教員を悩ませる「プール当番」

暑さの問題だけではない。プールの水質管理も、教員にとって大きな負担になっているという。

「毎日水質管理をしなければならない。塩素は先生がプール当番を決めて入れる、プール掃除もしなければならない。ずっとそのシーズンは管理が続くので、継続的な管理の負担が先生に大きい」と、西参事は語る。

こうした課題を受け、氷見市は水泳の授業を屋内の市民プールで実施することにした。現在、市内10の小学校のうち9校が市民プールで授業を行っている。

児童からは「楽しい」「広いし楽しい」「学校のプールはここより狭かった」といった声が上がる。授業のたびにバスで移動する手間はあるが、湖南小学校の越前雄介教諭はメリットの大きさを強調する。「プール清掃や毎日の水質管理が不要になり、教員の負担が軽減されている。室内なので天候に関係なく予定通り行えるのもメリットです」。

プール解体まで踏み切った魚津市

一歩進んだ対応をとっているのが魚津市だ。市内の学校プールの解体を進め、今年からはすべての小中学校の水泳授業を、去年新設された市民プールで実施している。

魚津市立よつば小学校の長崎亨校長は、砂利が敷かれた空き地を指しながら「ここが元々プールがあった場所です」と話す。

「天候による急な中止という点では大変改善されている。昨年度できたばかりのプールで、非常に広く泳ぎやすい」と評価する。

魚津市がプール廃止に踏み切った理由は、暑さ対策や教員の負担軽減だけではない。コスト面も大きな要因だ。市教育委員会教育総務部の山田聡主任によれば、学校プールの維持管理には「1校あたり年間100万円程度」が必要で、大規模修繕ともなれば「1校あたり1億5000万円ほど」が見込まれるという。「プールを廃止・解体することで、公共施設の維持管理コストも削減できる」と山田主任は説明する。

夏休みのプール開放も"縮小"へ

変わりつつあるのは授業だけではない。夏休みのプール開放も、熱中症対策として取りやめる動きが広がっている。BBTのまとめでは、県内15市町村のうち9つの市町村が「開放しない」としており、去年より大幅に増えた。

氷見市では昨年の実績として、「開放できた割合は10%程度。猛暑の影響で予定していてもまったく開けなかった学校がほとんど」だったという。西参事はこう言い切る。「プールに入っているときよりも、暑さの中帰るのが一番危険だと思う」。

こうした状況を受け、氷見市は今年、すべての学校で夏休みのプール開放を取りやめ、代わりに市民プールの無料利用券を配布することにした。

広がる「脱・学校プール」の波

学校外で水泳授業を実施している富山県内の自治体は、氷見市・魚津市にとどまらない。上市町はすべての小学校、立山町は6校のうち4校が、市民プールなど学校の外で授業を行っている。

暑さが年々厳しくなる中、学校プールのあり方は大きな転換点を迎えている。子どもたちが安全に、そして確実に水泳を学べる環境を守るための模索は、富山県内各地で続いている。

(富山テレビ放送)

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