“駅前の空き家をパン店に再生”27歳コンビの挑戦

香ばしい小麦の香りが店中に漂う。

先行オープン初日のパン店は、朝から行列だ。

地元の高齢女性:
「やっぱり手作りのほかほかのできたて、これ大事」

孫と3人で来店:
「八幡浜から来ました」
「気になります。楽しみです、パン屋さん好きなんで」

過疎で人が減る“海沿いのまち”ににぎわいを呼び込む。

そんなベーカリーのオープンを追った。

新たなにぎわい作りに乗り出した

愛媛県伊予市双海町。「道の駅ふたみ」のほど近く、JR伊予上灘駅の目の前に一軒の空き家がある。

後藤龍哉さん:
「(出身は)愛媛の大洲なんですよ。まあ独立は考えてたんでね、ちょっと早くなったってだけで」

後藤龍哉さん 27歳。

愛媛調理製菓専門学校を卒業後、パン作りの腕を磨くため20歳から3年間、大阪の有名店に勤務。

早朝から深夜まで日々厳しい修行を積み、4年前に愛媛に戻ってきた。

そんな後藤さんをこの店のパン職人として抜擢したのが、同じく27歳の上田沙耶さんだ。

上田沙耶さん:
「この通りがもっと賑やかになったら、駅から道の駅までの人気のスポットだし。歩く人が増えたり、寄るところが増えたらいいなという思いで、エリアを開発していきたい」

上田さんは、これまでにも地元の喫茶店を復活させたり、新たに宿泊施設やイベントを手がけたりと、過疎化の進む双海を盛り上げようと、様々な「ビジネスの創生」に取り組んできた若きオーナーだ。

クラウドファンディングで集めた400万円あまりを開業資金の一部にし、長く空き家になっていたこの建物を生かした新たなにぎわい作りに乗り出した。

若きオーナーとともに
若きオーナーとともに
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オープンが待ち遠しくて仕方ない

壁や床は、古い建物らしいレトロさを残しつつ、自分たちで塗装する。手作りの店舗は、オープンに向け忙しく作業が進む。

そんななか、窓からのぞく顔が!

なんと、近所の子供たちが手伝いに来てくれた。みんな、オープンが待ち遠しくて仕方ないようだ。

一方、パンの開発を一手に担う後藤さんの心のうちは。

後藤さん:
「地元じゃないけん、自分はちょっと怖い。不安もあるんですけど、シーズン的には夏なんですけど、夏にパン売れるかな?とか思う」

近所の子供たちもお手伝い
近所の子供たちもお手伝い

オープンまで1週間を切り、試作の真っ最中

後藤さん:
「これは、サンドイッチにする用の『カスクルート』っていって、サンドにする、いったらコッペパン」

作業場は、オープンまで1週間を切り、試作の真っ最中だ。

後藤さん:
「(オーブンは)ちょっと前に入ったんですけど、きのうくらいに動き出して動力が…バタバタです」

新しいオーブンを使ってパンを焼くのは、この日が初めてだ。

後藤さん:
「あー固そうやなあ。全然へたくそっすね。これくらい、全部クープ(切り込み)が、開かんといかんのですよ。こういう細かったり太かったりするのもいけんし、もうちょっと膨らまんといけんのですけど」

焼き上がりに納得のいかない後藤さん。

小さいころからパンが大好きだった。そのルーツを聞いてみると

後藤さん:
「親の友達がパン屋で働いていた人で、よくパンもらいよったんで、そこからパン好きになってきて、家で作ってみたんですけどね1回、めっちゃまずいパンできたっすけどね、かったいなんじゃこれ、これがまた面白いなと思って」

試作の真っ最中
試作の真っ最中

地元でとれたハモを使ったサンドに挑戦

後藤さんは、双海ならではの「店の看板メニュー」を考えていた。

後藤さん:
「これはハモですね、双海で獲れたハモを使います。ハモを揚げるだけやったら面白くなかったんで、春巻きで巻いてサンドしてみようかなって。やってみて食べてみてって感じで、ちょっとやってみようかなって。地産地消じゃないですけど、地元のものは使いたいなと思っている」

地元産品を生かしたパンの試作第一弾として、カラッと揚げたハモの春巻きを具材にしたサンドを考案している後藤さん。

ハモの春巻きを挟むパンを、固めのハード系「バゲット」にするか、柔らかい口当たりの「コッペパン」にするかで悩んでいた。

それぞれ挟んでみて、春巻きとの相性を確かめた結果…

後藤さん:
「コッペパンのほうがうまいっすね。こっちのほうが柔らかいんで、高齢者も食べやすいかな」

使用するパンは、「コッペパン」に決まった。

後藤さん:
「ありきたりじゃ面白くないんで。店名がPOPPANなんでね、ポップなパンも色々作って。名前にちなんでじゃないですけど、そんなパンも考えたい」

苦労の末に地元食材で新しいパンを完成させた
苦労の末に地元食材で新しいパンを完成させた

ついに先行オープンの朝

6月9日、後藤さんの夢の舞台「POPPAN(ポパン)」は、ついにプレオープンの朝を迎えた。

後藤さん:
「きょうは朝4時から(作業してます)」

初日は、20種類ほどのパンを準備した。

砂糖をキャラメリゼした、カリっと食感が楽しいフランスの伝統菓子「クイニ・アマン」に、発酵バターを幾重にも折り込み豊かな香り立つ「クロワッサン」。野菜やひき肉を赤ワインでじっくり煮込んだ「カレーパン」は、スパイシーさが癖になる。

もちろん、あのハモのパンも完成していた。レタスを添えて色味をととのえ、春巻きとソースには、レモンの酸味をプラスして暑い夏も爽やかにいただける一品に。

さらに、あまーく煮た地元のビワが主役のデニッシュも登場した。

地元産品を生かした渾身のオリジナルパンも店舗に
地元産品を生かした渾身のオリジナルパンも店舗に

地元の人たちもオープンが楽しみで仕方ない

オープンまであと1時間、ちょっぴり気の早い男性が店を訪れた。

男性:
「まだオープンじゃないの?」

上田沙耶さん:
「わ、こんにちは。きょう11時からなんですよ」

男性:
「10時からやと思って来た」

地元の人たちもオープンが楽しみで仕方ないようだ。

30分前になると、外には開店を待ちわびるお客さんの姿が。

初日は、なるべく多くの客にパンがいきわたるように、個数に制限を設けて販売された。

それでもパンは飛ぶように売れた。

地元の人たちもオープンが楽しみで仕方ない
地元の人たちもオープンが楽しみで仕方ない

「めっちゃ買いました」

八幡浜市からきた客:
「めっちゃ買いました。思ったより種類が多くて、選ぶのが楽しかったなって思いました」

伊予市内から来た客:
「ここにパン屋ができてとてもうれしい」
「(双海に来る機会は?)増えます全然、毎回来たいなって思いました」

地元の女性:
「年取ったらね、遠くまでよういかんけん。ここ便利がいいわ思ってね、近くにできるんが一番ええわい」

「ここ便利がいいわ思ってね」
「ここ便利がいいわ思ってね」

上灘駅周辺に再び賑やかな声が戻ってきた

空き家が増え、人通りが減っていたJR上灘駅周辺に再び賑やかな声が戻ってきた。

後藤さん:
「双海にいっぱい人が来れるような、上灘駅にも、駅が目の前なんで、目の前が人でいっぱいになるようなパン屋になったらいいな」

初日の大にぎわいを受け、後藤さんの夢も大きく膨らむ。

後藤さん:
「(仕込みで)きょうは寝れんぞ」

上田さん:
「きょうも?」

後藤さん:
「きょうは寝んぞ」

上田さん:
「本オープンでついに倒れるかも」

後藤さん:
「はは、大丈夫」

新たなにぎわいの場を目指す若者たちの挑戦。

双海のベーカリー「POPPAN」は12日本格オープンする。

双海のベーカリー「POPPAN」は12日本格オープン
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テレビ愛媛
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