『銅線ケーブル』窃盗が急増
全国各地で多発する金属盗。愛媛県内でも被害が相次いでいて、西条市の太陽光発電所から銅線ケーブルを盗んだ疑いで、県内の男が2人逮捕されている。
環境保護やエネルギー削減のため、『金属資源のリサイクル』は現代社会の重要な課題だ。
こうした金属リサイクルに目をつけ、特に高騰する「銅」を狙った窃盗事件が全国で相次いでいる。
もちろん国や捜査機関も、犯行を野放しにしているわけではない。
6月からは盗品の流通を防ぐ新法「金属盗対策法」が施行され、リサイクル業界を巻き込んだ対策が動き出した。
“犯行は一晩で…”県内で発生した「銅線ケーブル」窃盗
5月、西条市の太陽光発電所から銅線ケーブルを盗んだ疑いで、松山市の自称・電気工事業の男が逮捕された。
県警によりますと、県内で同じような手口の窃盗事件が5月だけで18件も確認されている。
「闇ルートでもあって(売って)処分できるから、犯罪が起きると思う」
こう話すのは、松山市の五明地区で太陽光発電施設を管理する樋野正志さんだ。
こちらの施設も、窃盗の被害にあった。
樋野正志さん:
「これなんかはよう外さんくて、(ケーブルを)切ってますね」
根元から無残に切り取られた銅線ケーブル。被害直後の写真だ。
5月中旬、樋野さんが管理する5カ所の施設で、約15メートルの銅線ケーブルがそれぞれ3本ずつ盗まれた。
分電盤の扉には、今もバールで乱暴にこじ開けたような跡が残る。
樋野さん:
「(銅線ケーブルの)距離長いんで、2人か3人かで引っ張らないと抜けないですね。おそらく5件くらいを、一晩3時間から4時間の間で同じことをして、太い銅線だけ抜いて帰っている」
盗まれたのは銅を多く含む太いケーブルばかりだ。
復旧には施設1カ所あたり20万円ほど、5カ所で合わせて100万円かかった。

これ以外にも愛媛県内では金属窃盗が相次ぐ
樋野さん:
「目の前に家があるようなところは盗っていないので、ある程度下見してるんでしょうね」
樋野さんのスマートフォンには、発電施設からリアルタイムで発電状況のデータが送られてくるが、被害当日は未明から数時間の間に相次いで送信が途絶えた。
手際のよさなどから、樋野さんは“手慣れたグループによる犯行ではないか”と考えていて、警察に被害届を出している。
警察庁のまとめによりますと、全国の金属盗の認知件数は2025年に1万5712件にのぼり、6年前の約3倍に増えている。
県内でも2020年は38件だったが、ここ数年は120件前後で推移するなど多発している。
2025年11月、松山市の県営団地で空き部屋から金属製の蛇口10個などが盗まれているのが発見された。
また、宇和島市では今年5月、廃業した温水プールで金属製の蛇口25個と、シャワー室の金属部品17個が盗まれているのが見つかった。
今治市でも廃止されたし尿処理施設で、電力ケーブルや電線、配管などが大量になくなっていた。

理由のひとつは『「銅」の取引価格が上昇』
多発する金属盗の背景について、県警の担当者はこう語る。
県警生活環境課・江藤宏隆さん:
「被害の増加につきましては、『金属取引価格の上昇』がその一因にあると考えられます」
特に銅の取引価格が高騰。
非鉄金属大手のJX金属が公表する国内の銅取引の目安価格は、6年前に比べ3倍以上にはね上がっている。
こうした中、盗品の流通を防ぐため、金属くずを買い取る業者に対し、取引時の対応を厳格化する新たな法律『金属盗対策法』が6月施行された。
県警生活環境課・江藤宏隆さん:
「いわゆる金属くずにつきましては、(これまでは)特段の本人確認を行うことなく、容易に換金することが可能となっていました。今後は特定金属くず買受業者が本人確認等を確実に行っていただくことで、盗難金属の流通の抑止や可視化が図られると思っております」

県内の買い取り業者も対応を進める
規制強化を受け、県内の買い取り業者も対応を進めている。
新たな規制では銅などの金属くずを買い取る業者に対し、「県公安委員会に事業を届け出ること」が義務付けられた。
また、「売り主の本人確認」や「取引記録の作成」、「盗品の疑いがある場合は警察への申告が必要」などの項目が盛り込まれている。
ただ、買い取る業者にとって、持ち込まれた金属が盗品かどうか、見分けるのは困難だと話す。
金城産業・山本恭亮さん:
「盗品を見分けることはかなり難しいですよね。やはり一品一品に名前が書いているわけではないので、これが盗品だっていうことは正直、私らとしては判断が難しいところにはなってきます」

デジタル社会に銅の需要は欠かせない
松山市の金城産業は、6月1日から身分証を読み取る機器を新たに導入。
相手の身分証をデータとして保存し、警察から照会があった場合に、確認できるようにした。
金城産業・山本恭亮さん:
「誤って買受した場合でも、盗品を盗んだ人たちが適正に処罰されるように、(警察に)協力していけたらなと、そして盗品の被害が減っていくことを願っています」
AIの普及など、さらに進むとみられるデジタル社会に銅の需要は欠かせない。
捜査機関だけでなく、リサイクル業界も含め、新たな規制で相次ぐ被害に歯止めをかけられるか注目されている。

