地球温暖化が進む福島市で始まった柑橘栽培プロジェクト。植え付けから約2カ月が経ち、苗木には待望の花が咲いた。しかし、宮城の先輩ミカン農家から伝授されたのは、あえて花を摘み取るという驚きの栽培法だった。さらに福島のかんきつ畑では新たな天敵も出現した。
植え付けから2カ月で開花
地球温暖化が進む福島県福島市で、柑橘類の栽培に挑むプロジェクト。3月下旬に9種類の柑橘を植え付けてから約2カ月が経った。
5月8日にはスダチの花が1輪開花し、それを皮切りに5月下旬にはミカンも開花を迎えた。そこで気になるのが、花をつけた後の栽培方法だ。
実は、意外と身近な場所で、すでにミカンを300本も育てている「先輩農家」がいた。
宮城でミカン栽培
向かったのは、イチゴの名産地として知られる宮城県沿岸最南端の山元町。ここでミカンを栽培しているのが、斎藤正直さん(85)だ。
5月下旬から6月上旬にかけて、ミカン畑は純白で清楚な花が咲き誇る見頃を迎える。福島でおなじみのモモやリンゴの畑とは、また違ったフレッシュなジャスミンのような甘い香りが漂う。
斎藤さんがミカン栽培を始めたのは2019年のこと。青果の卸会社から「温暖化で長崎県での栽培が難しくなっている」という話を聞いたことがきっかけだった。植え付けから3年後の2021年には「仙台みかん」としてブランド化し、現在はJAなどに出荷している。
先輩農家が伝授 1年目の鉄則
せっかく咲いた柑橘の花だが、斎藤さんから伝授された栽培方法は意外なものだった。
「体を作らせるために、1年目・2年目は全部花や実を取ってしまう。実をならせないんだ」
花を咲かせ、実をつける行為は、植物にとって非常に大きなエネルギーを消費する。そのため、植えてから1年目の苗木は、まずは木を大きく成長させるために、あえて花や実を落とす必要があるのだという。
福島での試練 天敵が出現
斎藤さんの教えを受けて、後日、福島市の“かんきつ畑”でさっそく「花芽の摘み取り」を実践することに。
“かんきつ畑”の管理人でリンゴ栽培のスペシャリスト・阿部幸弘さんのアドバイスによると、剪定ハサミは雑菌を媒介する恐れがあるため、小さな花芽は手で摘み取るのがベストだという。せっかく咲いた花を摘むのは心が痛むが、将来のために作業を進める。
しかし、スイートレモネードの木に差し掛かったとき、異変に気づいた。葉が不自然に欠けていたのだ。よく見ると、そこにはクロアゲハの幼虫の姿があった。ものすごいスピードで葉を食い荒らしていた。
無農薬で柑橘を育てることの厳しさを思い知らされながら、この日は手作業で幼虫と卵を駆除。しばらくは虫との戦いの日々が続きそうだ。
今回は「福島で実際に実がつくのか」という実験も兼ねているため、全体の木を育てることを最優先にしつつも、数個だけ花芽を残して栽培を続ける予定だ。次回は、悩まされた虫被害のその後や、残した果実がどう育ったのかをレポートする。
(福島テレビ)
