福島市のリンゴ農家が、温暖化の影響を受ける畑で柑橘栽培に挑戦する。きっかけは気象予報士が出会った新潟・佐渡のミカン。栽培が難しくなったリンゴの木を伐採し、9種類の柑橘の苗を植えた。東北での新たな挑戦が本格的に始まった。
きっかけは佐渡のミカン
福島テレビの清野貴大気象予報士が、以前新潟県・佐渡で出会ったおいしいミカン。このミカンを福島でも栽培できないかと考えていたところ、ある協力者が見つかった。福島市でリンゴを栽培する農家の阿部幸弘さんだ。
阿部さんは近年の温暖化で、特に早い時期に収穫できる早生品種のリンゴ栽培に悩んでいたという。この両者の思いが重なり、福島市での柑橘栽培プロジェクトが本格的に始動した。
栽培地は“温暖化に悩む”畑
まず取り組んだのは畑選び。福島とほぼ同じ北緯で柑橘栽培を行う新潟県のJA佐渡に栽培の適地を尋ねると、大きく4つのポイントが挙げられた。
・排水良好な土壌
・弱酸性土壌
・有効土層が50cm以上
・冬の季節風が当たらない南向きの場所
阿部さんは「条件が完璧に揃うのはなかなか難しい」としながらも、自身の畑の中に条件に近い場所があるという。案内されたのは、リンゴの木が植わっている場所だった。
ここに植えられていたのは、リンゴの早生品種『つがる』。温暖化の影響を最も受け、夏の猛暑による日焼けや害虫の被害に遭っていた品種だった。阿部さんは「これをまず伐採して、土壌改良して柑橘を植える予定です」と話す。温暖化に適応できなくなりつつあるリンゴ畑が、新たな挑戦の舞台となる。
9種類の“スターティングメンバー”
次に進められたのは、どの柑橘を植えるかという品種選びだ。阿部さんは「まず第一条件はおいしいもの」とした上で、自身のメインであるリンゴ『ふじ』の収穫と時期が重ならないものを希望した。具体的には、10月までに収穫できるものや、年が明けた1月・2月に収穫できるものが理想だという。
阿部さんと清野気象予報士が相談の上、苗木の購入に向かったのは苗木の名産地、新潟市秋葉区。佐渡にも苗木を出荷している園芸店「八草園」で、福島の地で育てるための9種類の柑橘を選んだ。
選ばれたのは、『カボス』と9月に収穫期を迎える『スダチ』。レモンは、病気に強く果汁が豊富な『璃の香』と、糖度が通常の2倍ある『スイートレモン』の2種類。ミカンは、甘みや酸味に特徴がある『ゆら早生』『田口早生』『興津早生』の3種類。さらに、年明け頃に収穫できる『デコポン』などの品種も加わった。
福島での栽培がいよいよスタート
清野気象予報士が苗木を買いに行っている間、阿部さんは畑の整備を進めていた。リンゴ『つがる』が植えられていた場所は、柑橘を植えるための準備が整えられた。
苗木を植えるのに適した春の時期、いよいよ植樹作業が始まった。今回植えた苗はほとんどが2年目のもので、一般的に出荷できるほど実がつくのは3年目以降だという。
阿部さんは今後の展望について、「温暖化が急激に進んでいますから、おそらくギフトなどでリンゴと柑橘が揃って1つの箱に入る時代がまもなく来ると思う。その先駆けでやっていきましょう」と意気込みを語る。
ようやくスタートした福島市での柑橘栽培。9種類の柑橘を長い期間栽培することで、どの品種が福島の気候に適しているのかを検証していくという。将来的には地元の直売所などで販売することも考えている。東北の地での新たな挑戦が、静かに始まった。
(福島テレビ)

