7月に秋田県で開かれる全国高校総合文化祭(あきた総文2026)に向け、秋田市の秋田高校生物部の2つの研究班が県代表に選ばれた。がん死亡率や化学物質汚染など地域の課題に向き合い、限られた設備の中で工夫を重ねてきた高校生たち。社会に役立てたいという強い思いを胸に、全国の舞台へ挑む。
がん課題に挑む「アポトーシス」研究
放課後の実験室で、ひたむきに手を動かす生徒たち。生物部の一班が取り組むのは、「アポトーシスを利用した抗がん剤の有効活用」だ。
アポトーシスとは、細胞が自ら死ぬ仕組み。この働きを活用することで、がん細胞の除去につなげる研究である。
背景には、秋田県の深刻な現状がある。がん死亡率は29年連続で全国ワーストだ(「2025年人口動態統計」より)。
工藤志乃佳さん(2年)は「秋田のがんに対する課題の解決に貢献したいと思ったのがきっかけ」と語る。
研究の結果、細胞が自滅しているかどうかを見分ける方法を確立。成果は高く評価され、総文祭の代表に選ばれた。
工藤さんは「秋田県の代表として出場できることを光栄に思う」と、全国の舞台を見据える。
身近な環境問題からPFAS研究へ
もう一つの班は、有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」の影響をテーマに研究を進めている。分解されにくく、近年、人体への影響が懸念されている物質だ。
秋田市内の水路で基準値を超える検出が報じられたことが、研究の出発点となった。
目黒ことみさん(3年)は「身近な環境問題として強く関心を持った」と振り返る。
1年以上にわたる実験の末、遺伝子への影響を探る研究で成果を上げ、3月に開かれた「ジュニア農芸化学会」で全国128組の中から金賞を受賞した。
「実際に自分たちの手で実験し、PFASのゲノムへの影響を明らかにしたいと思い、実験を始めた」と、探究の原点を語る。
工夫を重ねた高校の実験室
研究は大学のような設備が整っているわけではない。
それでも、目黒さんは「高校の実験室でできる範囲で工夫して、PFASの遺伝毒性を測ることができる実験を行ってきた」と胸を張る。
試行錯誤を積み重ねた日々は、確かな自信につながった。「1年生の結果が出なかった時期も報われるし、充実感がある」と、その歩みを振り返る。
全国の舞台へ 次の一歩
生物部を率いる佐藤菜々子部長は「先輩方が総文祭で活躍する姿を見てきたので、同じ場所で発表できることを光栄に思う」と話す。
地域の課題に真正面から向き合い、自ら考え、手を動かしてきた高校生たち。
その研究はまだ道半ばだが、「秋田の課題を解決したい」という思いは、確かに次のステージへとつながっている。
(秋田テレビ)
