能登半島地震で液状化被害を受けた地域に対し、新潟市が行う『街区単位の液状化対策』。江南区天野地区に続き、西区大野で対策を希望するかどうかを問う意向確認のアンケートが行われている。市が「住民の声を受けて進む」とする事業は広がりを見せるのか?

■愛着ある土地に住み続けたい…液状化対策への住民の思い

新潟市西区寺尾地区に位置する大野藤山自治会の池清敏さん。32年前、この地に自宅を構えた。この土地への愛着は深い。

「駅が近い、バスも多い、買い物も便利。そして、非常に住みやすい」

「非常に住みやすい」と感じる背景には、日頃から菜園で採れた野菜をやりとりするなど、近所との会話があることが大きいという。

2024年元日の能登半島地震で液状化被害を受けた。

新潟市が行う街区単位の液状化対策では、自治会のうち約40軒が対象だ。

対策を望むかどうかを尋ねる“意向確認のアンケート”が届いたのは2026年4月下旬。

実施したい、実施したくない、検討中の選択肢については、「もちろん『実施したい』を選んだ」という池さん。

その日のうちにインターネットで回答した。

■住民全員が市の説明を聞くために…声かけに苦心

池さんは、市が行う自治会単位の説明会に街区の住民全員が参加するよう声かけに尽力した。

初回の参加率は6割ほどだったが、「皆さんが市の話を聞くことがポイントだった。残りの住民に対し、できる限り全員が聞けるような場所・時間を考えた」と振り返る。

2025年12月と2026年1月に新潟市の職員による説明会を実施した後、どうしても時間の合わなかった8人のために市の職員が個別で説明する場を別に設定した。

こうした結果、3月までに街区のほぼ全員が市の説明を受け、意向確認のアンケート調査に進むことになった。

池さんは「関わったみんなで言っていた。『一区切りついたよね』と」。そこには安堵の表情が浮かぶ。

■液状化対策は“住民の声ありき”なのか…事業の関心に温度差

1坪あたり5250円の住民負担を伴う街区単位の液状化対策。

新潟市の中原八一市長は、「この事業は住民側の熱意・アクションがあって進んでいくものなのか」という問いに対し、こう答えている。

「この事業は、住民の皆さんから『ぜひ、やっていただきたい』という声を受けて、市としてもできるだけ広い範囲の街区の皆さんから、将来の地域の安心安全のためにお取り組みいただきたいと正直に思っている」

西区大野に住む池さんは言う。

「結局、この地域そのものが良くなるため。みんなと一緒にここに住むことが大事」

現在、意向確認に進んでいるのは、江南区天野地区の一部と西区寺尾地区の大野のみ。事業への関心に温度差があることは課題と言えるだろう。

また、住民の「ぜひやっていただきたいという声ありき」の事業であるならば、その地域に事業実施への音頭を取るリーダー的存在の住民がいるかどうかも重要な要素となる。

■液状化対策に“傾斜地”という課題

西区寺尾地区は、今回取材した大野が平らな盛土地であるのに対し、JR越後線から県道にかけては傾斜地だ。

新潟市は、「傾斜地では地下水の流れが速い可能性などもあり、慎重に工事設計を行う必要がある」としている。

専門家会議でも、寺尾地区の複雑な地形に対しては慎重な議論が続いていて、液状化対策の試験施工を行う場所は決まっていない。

新潟市が初めて挑む大事業『街区単位の液状化対策』。実際にどれほどの街区で対策が行われるのかは、本当に未知数だ。

NST新潟総合テレビ
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