熊本市中央区にある老舗ビアホールの名物マスター、村田 善則さん(92)。彫刻家としても活動し、文豪・夏目 漱石の胸像も手がけています。強く、優しく、思いを形にする姿に迫ります。

熊本中央区にある『ビア・ホールMAN(マン)』。〈プロレスファンの聖地〉として知られています。

常連客たちから『マスター』と呼ばれる村田 善則さんです。この日は、村田さんの『92歳の生誕祭』が開かれました。

【村田 善則 さん】
「もうちょっとばかり生きとこうかな(シャドーボクシングを披露)」
一同「イエーイ!」

【常連客】
「一言で言うと『神様』。スーパースター」
「憧れです。と癒やし。全て」
「ありがたい存在です」

(去年10月/鶴屋百貨店)
【プロレスラー 藤波 辰爾さん】
「熊本といえば、マスターの元気な声が聞こえてきそう。いつも熱く迎えてくれるし、我々の元気の源でもあったし、今日も久々お会いして、元気で安心しました」

村田さんは彫刻家としても活動しています。店に並ぶプロレスラーのブロンズ像は村田さんが造ったものです。※樹脂にブロンズ塗装。

親交のあったアントニオ猪木さんのブロンズ像は「2000体は造った」と言います。

「好きなアスリートを造ってほしい」「引退するプロ野球選手を造って、本人にプレゼントしたい」など注文はさまざまです。

(2024年11月)
この日は、プロレスラーが店を訪れ、アントニオ猪木さんのブロンズ像を購入しました。

【プロレスラー シマ重野さん】
「父親がALS(筋萎縮性側索硬化症)になって、介護が必要で、このブロンズ像を見せてあげたら喜ぶんじゃないかと思って」
(マスターと握手)

【村田 善則さん】
「おやじを大事にせい」

村田さんは、亡き妻・智寿子(ちづこ)さんの七回忌に合わせて、在りし日の姿を造りました。共に24歳で結婚し、長年、苦楽を共にしてきました。

【村田 善則さん】
「どういうことがあっても『お父さん、明日は明日の風が吹くよ』と言うて、そのおかげで今もストレスなしに生活できる。『明日は明日の風が吹くよ』。本当に〈肝っ玉母さん〉だったなぁ」

(2024年2月/流長院/熊本市中央区)
(七回忌法要でに妻・智寿子さんのブロンズ像を納める)

【村田 善則さん】
「眼鏡かけてやらなんね。よう似とっど? ちょうど笑いよるところだったけん、よかったよ。これでよかったね。また会いに来るけんね」

【長女・長谷川 美奈さん】
「(両親は)すごく仲が良かったです。上手に出来ていました」

【長男・村田 健一さん】
「上手に出来ていたと思います」

【村田 善則さん】
「最高の女性でした。愛してるよ~」

(去年11月/阿蘇市『山王閣』)
村田さんはさらに、こんな偉人の像も手がけていました。

【村田 善則さん】
「夏目漱石先生、久しぶりです。ごぶさたしております」

(閉館したホテル『山王閣』庭にある夏目漱石の胸像)
阿蘇・内牧温泉のホテルの庭にたたずむ夏目漱石の胸像。約30年前に村田さんが造りました。

【村田 善則さん】
「会えてよかった。中の鉄骨が足らんで、一回、倒れたことがあって、顔が重くて。こんな大きいのを造ったのは初めてだった」

1896年から1900年まで第五高等学校の英語教師として過ごした漱石。1899年の夏に、同僚と阿蘇を旅行し、ここに宿泊。小説『二百十日(にひゃくとおか)』の舞台になりました。

当時、宿泊した部屋は移築され、現在も保存されています。

ホテルのオーナーが漱石の胸像の製作を村田さんに依頼。漱石来熊100周年だった1996年に、胸像の入魂式が行われました。

今年は漱石来熊130周年。村田さんは「何かの役に立ってくれたらうれしい」と話しています。

【村田 善則さん】
「(最近は)脚が不自由してな、上半身は元気たい!(シャード―ボクシングを披露)」
(もっと多くの人に見てもらうといいですね)
「いっぱい見てもらいたい」

(3月8日/サクラマチクマモト)
〈みんなを楽しませたい〉〈元気にしたい〉そんな村田さんの人柄に魅了された常連客の一人、福岡県在住の荒木 久朝さんが、村田さんのこれまでの歩みや交友録などを1冊の本にまとめました。

『MAN(マン)熊本の老舗ビアホール 名物マスター一代記』(熊本日日新聞刊)

この日は出版記念のトークショーが開かれ、約200人が集まりました。

【村田 善則さん】
「ものすごく体が弱かった。顔だけは良かったな」

(幼い頃は体が弱く、戦争の疎開先でいじめられた)

【村田 善則さん】
「他人にではなく、自分にです。負けたらあかん。これだけで生きとるんです。負けたらあかん」

【来場者】
「元気な姿が見られてよかった」
「(マスターの魅力は)強さと優しさを持っているところ」

【著者・荒木 久朝さん】
「マスターが一番発信しているのは勇気や元気だと思います。立ち向かう勇気、〈なにくそ〉という反骨心(を伝えたい)」

【村田 善則さん】
「(ビールを飲んで)うまい!」

多くの人を元気にする、そして、多くの人に愛される、92歳です。

【村田 善則さん】
「元気ですか!」

テレビ熊本
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