事件の背景に一体、何があったのか。
介護をめぐる現場で2人が死亡した事件に、大きな波紋が広がっています。
1日午後3時ごろ、埼玉・川口市内の住宅で首から血を流し、倒れているのが見つかったのは、ケアマネージャーの鈴木希代子さん(63)。
そしてこの直前、この家に住む60歳の無職の男が「ケアマネージャーの女性を刃物で刺した。これから自分も刺す」と警察に通報をしていました。
警察が駆け付けると、男は玄関先の廊下で自分の首を刃物で切り付けるところだったといい、鈴木さんは玄関先の廊下で倒れていました。
2人はそれぞれ病院に運ばれ、その後、死亡が確認されました。
警察は、男が鈴木さんを刃物で切り付けたあと自殺を図ったとみています。
鈴木さんの職業、「ケアマネージャー」という仕事。
介護や支援を必要とする人々の相談を受け、介護プランの作成や、自治体や事業者との調整なども行う、今の高齢化社会になくてはならない職業の1つです。
事件現場の周辺からも、「自分の実家にもおばあちゃんがいて、ケアマネの方が来ているので、ちょっと人ごとではないというか。自分も介護の仕事などに携わりたいと今後思っていたところだったので、こういう事件があるとちょっと考えてしまうというか」といった声が聞かれました。
ケアマネージャーの鈴木さんの近所に住む人は、「鈴木さんは細かい気遣いができる人だった」と話します。
鈴木さんの近所に住む人:
いつも(こちらが)うるさくしてすみませんと言うと、(鈴木さんが)「こちらもテレビの音うるさくてゴメンね」っていう感じで。会うといつも笑顔で挨拶してくださる。(事件を聞き)とてもすごい衝撃を受けて。
そんな鈴木さんが、なぜ事件に巻き込まれたのでしょうか。
警察によりますと、鈴木さんを切りつけた男は90代の母親と同居。
鈴木さんはこの母親の介護のサポートを担当していたというのです。
1日も鈴木さんは、男の母親が訪問診療を受ける際の付き添いとして、この家を訪れていました。
そうした中、60歳の息子が110番通報した際、「お金をだまし取られたので、殺そうと思って首を刺した」といった話をしていたことが新たに分かりました。
しかし捜査関係者によりますと、男と鈴木さんの間に金銭トラブルなどの形跡は確認されておらず、男の一方的な思い込みから事件を起こした可能性もあるとみています。
鈴木さんを切りつけ、その後、自殺を図ったとみられる男の日常について、近所の人は「(ずっと)2人暮らしだと思うんです。お母さんは庭先掃除したりすると、前を通ると『こんにちは』くらい。挨拶はしますけどね。(母親は)2、3年前まで見たよ」と話します。
かつては母親の比較的元気な姿も目撃されていましたが、その後、車椅子に乗るようになり、近所の人からは「車椅子押してたから、よく看病しているなっていうのは見た。(男は)会えば挨拶するし」「おばあちゃん(母親)が認知(症)になっちゃって。2、3年はちょっと(大変な状況だった)」と、息子が介護に追われていたとの証言もありました。
また、親戚は「今年の2月かな。頭を打って手術してから(母親の体調が)おかしくなって。私が5月の連休に行ったときは(男は)ちょっと痩せてきて。精神的にちょっと疲れ出てるなと感じた」と、介護疲れのためか“男が精神的に追い詰められているようだった”とも話します。
警察は、男が母親のケアマネージャーを務めていた鈴木さんを刺して殺害したものとみて、2日朝から男の自宅で現場検証や家宅捜索を行い、調べを進めています。