熊本地震から今年で10年。本震で犠牲となった息子が〈生きた証し〉として、家族が10年間つないできた米があります。「一度は諦めかけた」と話す母の思いに迫ります。
【大和 忍さん】
「主人が亡くなった後、いったん諦めたんですけど、いつか終わりは来るから…って」
4月16日。喪服姿でモミまきをするのは阿蘇市に住む大和 忍さんと、長男の翔吾さんです。
次男・晃さんは、熊本地震の本震で、南阿蘇村立野の大規模な土砂崩れに巻き込まれ、犠牲となりました。
父・卓也さんをはじめ大和さん家族は、晃さんがモミまきを手伝った苗を育て、収穫した稲穂から種モミを作り晃さんが生きた証しとしてつないできました。
【大和 卓也さん】
「あの子の〈証し〉というか、手を掛けたものがずっと側にいてくれる。同じように芽を出して、実を付けてくれる。自分ができる間はずっとつないでいきたい」
しかし、熊本地震から8年がたったおととし9月、卓也さんは病気で亡くなりました。
【大和 忍さん】
「なかなか…主人がいないと難しい部分があるので…」
卓也さんが亡くなった後、忍さん独りで米作りを続けるのは厳しい現状がありました。
【晃さんの伯父 本郷 征美さん】
「卓也さんと晃と忍と頑張ってきた稲作なので、何か手伝いができないかと、途絶えるのが嫌だった」
忍さんの兄の本郷 征美さん。
忍さんの実家がある南阿蘇村で晃さんの米をつないでくれました。
モミまきをした苗は立派に育ち、5月16日に田植えを迎えました。
【大和 忍さん】
「諦めかけた…一回は『もう終わろう』と思った、米を植えることを兄が手伝ってくれながら、ことしも植え付けができて、(卓也さんと晃さんも)どんなふうにやっているか心配でしょうし、あとは一緒に見守って育ててくれることを願っている」
一度は諦めかけた米作りですが、ことしも晃さんが生きた証しをつなぐことができました。