人口の減少や建物の老朽化にともない空き家が全国的に増加する中、静岡県掛川市では対策の一環として空き家を地域活性化の資源として価値を見いだす取り組みが進められている。

深刻な空き家クライシス

いま、全国的に問題となっている空き家.。

総務省が3年前に実施した調査によると、全国の空き家は過去最高となる900万戸に上り、 2018年の前回調査から51万戸も増えた。

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空き家は地震や台風の際に倒壊のリスクがあるほか、火事が起きた時には延焼につながる危険性もある。

掛川市の挑戦的な対策

こうした中、掛川市では4年前から地域の活性化を目指した空き家対策を進めている。

市によると、市内にある4万あまりの建物について地図製作会社の協力を得て調査したところ、1869軒が空き家となっていることが判明し、このうち7割以上が小規模な修繕で再利用できることがわかった。

一方で所有者の半数近くが手放したいと回答し、今後について「わからない」と答えた人も16%に上っていて、同市くらしデザイン課の陸田真宏 課長は「関係者や権利者と話をしなければいけないし、片付けもしなければいけない。お金もかかってくるし、様々な問題があるので、そうした部分で困っている人がたくさんいると理解している」と話す。

このため、掛川市では一定期間継続することを条件に、空き家の新たな活用に補助金を出している。

歴史をつなぐ 美術館が宿泊施設に?

築95年の愛宕下美術館。

1931年に開館した私設の美術館だが、20年ほど前からは事実上の休館となっていた。

所有者からの相談を受け、建物の保存に尽力している一級建築士の村松謙一さんは「私が評価しているのは、この建物を若干二十歳の建築家がデザインしたこと。この地域に、これだけの建物が(当時)造られたということは本当に価値が高い。1931年という時代を考えると、東京や大阪に負けないような先進的なデザインだったと思う」と強調する。

同じ思いを抱く仲間と共に3年かけて再開にこぎつけたが、この先も美術館として存続させていくためには運営費や管理費を捻出しなければならない。

そこで考え付いたのが敷地内にある空き家をリノベーションして、宿泊施設にするというアイデアだ。

室内には美術品の一部を展示し、一体感を生み出している。

宿泊施設は6月のオープンを目指していて、美術館についても今後、定期的な開館につなげていきたい考えで、村松さんは「人生100年時代と言われるが、建物(愛宕下美術館)は鉄筋コンクリートなので、100年と言わず、200年と続いていったらいい。地域にとって、かけがえのない美術館と思ってもらえるような施設にしたい」と目を輝かせる。

若者と共創 空き店舗が交流施設に

一方、商店街では履き物店だった空き店舗が交流施設へと生まれ変わった。

プロジェクトの代表を務めるのは静岡理工科大学 建築学科の田井幹夫 教授で、所有者が今後の活用に頭を悩ませる中、市からの紹介もあり力を貸すことを決意。

田井教授は「(所有者は)上手く活用する方法がわからない。我々が使わせてもらうことで、良い事例が増えていくことに期待したい」と話す。

1階は曜日ごとにカフェなどが出店を予定しているほか、地域の病院と連携して医師や看護師が健康相談を受け付ける休憩場所として利用。

2階は静岡理科大 建築学科の学生が暮らす寮となっていて、田井教授は「現代の街はいろいろ切り分けられてしまっている。商業・住居・農業・林業など、本来は中心市街地に一緒にあったということがすごく大事なことなので、それを取り返したい」と狙いを明かす。

また、掛川城を望む3階はゲストハウスとして貸し出すべく準備を進めていて、建物を所有する松浦孝治さんは「この建物・施設が街を活性化する1つのきっかけとなれば大変うれしい」と喜び、久保田崇 市長は「空き家や空き店舗の所有者はすごく悩んでいる人が多いと思う。ただ、このように空き家・空き店舗が見違えるように生まれ変わるということを、モデル事業を通じて示していきたい」と力を込めた。

空き家が増える中で、地域活性化の資源として価値を見いだすことができるのか、モデル事業の今後が注目されている。

テレビ静岡
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