「ゆっくり、速足で来た。こうしてクマが、こういう感じで威嚇するような感じで向かってきました」(鹿又保夫さん)

 休日に山菜採りをしていた鹿又保夫さん。

 のどかな山で絶体絶命の体験をしました。

 5月17日、士別市多寄町の林道わきでウドを採っていた男性の目の前に突然、クマが現れました。

 「振り向いて車を見たときに5メートルぐらいのところにクマがいた」(鹿又さん)

 目の前に現れたのは体長約1.5メートルのクマ。

 思わず大きな声を出した鹿又さんにクマが襲い掛かってきました。

 「自分で後ろに下がって、ひっくり返った時に、クマがどんな体勢で来たのかはわからないが、自分の目の前のからだの上の方にクマがいた。目の前にクマの顔があって口が開いてたから、顔をかまれる!と思った。まずいと思って手をバタバタしているとたまたま鼻に当たってクマが逃げた」(鹿又さん)

 クマに覆いかぶさられながらも必死に抵抗し、クマを追い払った鹿又さん。

 奇跡的にケガはありませんでした。

 「今までも山菜取り中にクマは遠目で何回も見ていたが、至近距離になると本当にただ恐怖感しかないですね」(鹿又さん)

 これまでも何度もクマを目撃したことがあるという鹿又さん。

 いつもはクマよけの鈴や動物を追い払うための道具を持って山に入っていますが、この日は道路わきの山菜を取るだけだったのでつけていませんでした。

 ただ、このような助かるケースばかりではありません。

 5年前、北海道東部の厚岸町で山菜採りをしていた60代の男性がクマに頭をかまれたとみられる状態で見つかり、死亡が確認されました。

 また、2年前には日高の浦河町で山菜採りをしていた男性がクマに襲われケガをしています。

 安全に山菜採りを楽しむために万全な準備が必要です。

 これまでの事案を見ても、ヒグマに遭遇した場合、けがなく無事に帰れたケースはほとんどありません。道内の人身事故の実態と、身を守るための対策についてまとめました。

 2025年度の道内で発生したヒグマによる人身事故は5件で、6人が被害に遭いました。4人がケガを負い、2人が亡くなっています。

 福島町では7月に50代の新聞配達員の男性が死亡する痛ましい事故が発生しており、ヒグマとの遭遇が無傷ではすまないケースが非常に多い現状が浮き彫りになっています。

 山菜採り中にヒグマと遭遇する事故も後を絶ちません。過去5年間では、山菜採り中の人身事故が2件発生。2021年4月には厚岸町で60代の男性が死亡し、2024年5月には浦河町で60代の男性がケガを負いました。

 今回、被害に遭った男性は普段から熊鈴を携帯していたものの、山に入るわけではなく道路脇だったため、鈴を持っていなかったといいます。

 山に入る際は、たとえ近い距離であっても熊鈴の携帯など万全の準備を整えることが重要です。日ごろから対策グッズを身につける習慣をつけることが、命を守ることにつながります。

北海道文化放送
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