長野県千曲市のマレットゴルフ場にある食堂についてです。「手打ちそば」が名物の店ですが、スタッフの高齢化などにより、2026年シーズンで閉店に。約30年間の感謝の気持ちを込めて、そばを打ち続けています。
■約30年続く自慢の「手打ちそば」
千曲市産のそば粉を使い、丁寧にこねられていくそばの生地。
千曲市の「やまぶき食堂」で提供されている自慢のそばです。
盛そばを注文した客:
「喉越しがいいですね、つるつるといくらでも食べられます」
千曲市の大田原地区にある「やまぶき食堂」は、1998年に開店。
食堂がある場所は、隣接するマレットゴルフ場のクラブハウス内にあります。
■マレットゴルフ場併設で客200人
開店当時から働く、松林美恵子さん(78):
「1998年8月12日にオープンしたんですけど、お盆の前日で200人くらい来てしまった。行政の人から、地域から普及センターから全部お手伝いいただいてすごかったです。うれしさと、皆さん一生懸命でした」
食堂は地元の女性グループ、「やまぶき会」が運営し、そばをメインに提供しています。
長野県は他の県と比べてもマレットゴルフ愛好者が多く、食堂も開店当初は年間で約1万7000人が訪れ、にぎわったといいます。
■新型コロナなどで客足は10分の1に
しかし―
松林さん:
「河川敷にマレット(ゴルフ場)ができて、河川敷で全部できるようになってから、だんだん(客が)少なくなって。コロナでも激変しましたけど」
各地にコースが増えたこと、そして新型コロナのまん延、2度の転機を経て、マレットゴルフ場の利用者が減り、食堂の利用者も年間1500人程度にまで落ち込みました。
■スタッフの高齢化も 11月末閉店へ
このため最盛期は20人以上いたスタッフも、今では3人のみ。
年齢も60代後半〜70代後半と高齢化が進み、店は、ゴルフ場が今季の営業を終える2026年11月末での閉店を決めました。
松林さん:
「会員が3人になったり、高齢で体にも自信がなくなってきたかなっていう思いで。タイミングです、悩みません。自分がもう足にあまり余裕ないので」
■そば打ち歴50年の熟練技
千曲市はそばの産地で、そば打ちを行う家庭もあるといいます。
松林さんも結婚を機に、長野市から千曲市へ移り住み、家でそば打ちを行うようになりました。
そこで培った腕を、店で披露し続けてきました。
松林さん:
「七割そばです。そばは風邪を引く(乾燥する)ので、時間勝負なんです。これからやって仕上がるまで、最低15分で仕上げる」
そばの実の殻まですった地元産のそば粉をこねて、生地を作っていきます。
こねる回数は、1つの生地で「300回」。
体重を乗せて、力のいる作業です。
松林さん:
「体力はいります、こねは」
できた生地は、のし棒を使い素早くのばしていきます
松林さん:
「一周したらどのくらい、一周したらどのくらいって手の感覚で分かるようになります」
そば打ち歴50年、熟練の技で、細く均一に切りそろえていきます。
■「ふるさとがなくなった感じ」
マレットゴルフはせず、そばだけを食べに来る客もいるといいます。
客:
「打ち立て、切りたて、ゆでたて、『3たて』って言っておいしい」
4月23日も常連客らが訪れていました。
おにかけそばを注文した客:
「寒いので温かくておいしいです。コシがあって」
常連客(千曲市出身):
「すごく寂しいですね。帰ってくると年に何回か寄るけど、自分のふるさとがなくなっちゃった感じで」
■感謝込めて、最後の1年悔いなく
閉店の11月末まで約半年。
一つ一つに感謝の気持ちを込めて。
松林さんのそば打ちは最後の日まで続きます。
松林さん:
「今まで大田原地域の人の協力・ご支援がなければ私たち会も発展できなかったと思う。もう感謝ですので、今年1年感謝の年としてやりたいかなと思いまして。『もったいないな』って言うお客さんもいるんですけど、もう私たちは決めたので最後の一年、悔いのない、味もしっかりとした最後の年にしたいかなと思います」