全国ではしか(麻しん)の感染が急増している。インフルエンザを凌ぐ感染力に加え、数年後に死に至ることもある合併症「SSPE(亜急性硬化性全脳炎)」の恐れもある感染症。宮崎県でも7年ぶりに感染が確認された。自分と家族を守るためのワクチン接種の重要性と、疑わしい症状が出た際の対応を専門医に聞いた。
非常に強い感染力と合併症の危険性
全国ではしかの感染が急増している。

2026年の国内のはしか感染者数の推移をみると、4月22日時点で362件にのぼり、前年1年間の患者数をすでに上回っている。前年の同時期と比較すると約4.4倍だ。
感染は東京都を中心に全国的な広がりを見せており、宮崎県でも7年ぶりに感染が確認された。感染拡大の原因は、世界的な再流行を背景に、海外から持ち込まれたウイルスが国内で拡散した可能性が高いとみられている。
そんな「はしか」とは、どんな病気なのか。そして、どう備えれば良いのか、ウイルス学が専門で愛泉会日南病院研究所長の峰松俊夫医師に聞いた。

峰松医師によると、はしかは“麻しんウイルス”の感染によって起こる病気で、極めて強い感染力があり、感染経路は飛沫や接触に加え、同じ空間にいるだけで感染しうる「空気感染」も含まれるという。インフルエンザが免疫のない人1人から3人程度に感染を広げるのに対し、はしかは1人から12人~18人にも感染が広がると言われている。

はしかの初期症状は鼻水、咳、目の充血など、普通の風邪とよく似ている。しかしその後、一度下がったかのように見えた熱が再び急激に上昇し、全身に発疹が現れるという。
特徴的なのは、発疹が出る前からウイルスを排出している点だ。
峰松医師は「発疹が出る前4日間、それから出たあと4日間が人に感染を広げるということで、発疹が出たときにはもう人に広げているというのがこの病気の怖さと思う」と話す。
風邪だと思い込んでいるうちに、気づかずに周囲へ感染を広げてしまう恐れがあるのだ。

さらに、はしかに感染すると体全体の免疫力が低下し、約30%の確率で合併症を発症するといわれている。免疫力の低い乳児や幼児が重症化しやすいという。
どういった合併症があるのだろうか?
峰松俊夫医師:
合併症で最も怖いのは肺炎。他にも例えば角膜炎を起こしたりすると失明の危険性があるし、麻しんウイルス自体が直接脳炎を起こすこともある。あと「SSPE(亜急性硬化性全脳炎」」はちょっと特徴的な病気で、はしかにかかった数年から10年後に発症し、次第に記憶力が低下していったり、運動障害が起きたりし、最終的に呼吸困難になり、最悪の場合は治療法がなく死に至る。
世界では、これらの合併症により毎年約10万人の子供たちが命を落としているという。
予防の鍵は2回のワクチン接種
はしかを予防する最も有効な方法は、2回のワクチン接種だ。ワクチンを2回接種することで、重篤な合併症を防ぐ効果が期待できる。日本では、1歳になった時と小学校入学前の1年間の2回が定期接種の対象となっている。
しかし、宮崎県によりますと、令和6年度における県内のワクチンの接種率を見てみると第1期(生後12月から生後24月に至るまでの間にある者)は90.1%、第2期(5歳以上7歳未満の者であって、小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にある者)は91.3%と、国の目標である95%に届いていないのが現状だ。
特に重症化しやすい子どもたちを守るためにも、対象年齢になったら確実に接種することが重要となる。

成人の方で自身の接種歴が分からない場合は、まず母子手帳を確認してみてほしい。
日本のワクチン制度は年代によって異なり、特に30代から50代前半の方は接種が1回のみ、あるいは未接種の可能性がある。自身や家族、そして社会全体を守るためにも、接種歴を確認し、必要であれば追加の接種を検討してほしい。
「はしかかな?」と思ったら

もし発熱や発疹などはしかが疑われる症状が出た場合は、感染拡大を防ぐため、医療機関へ行く前に必ず電話で相談を。受診の際は、周囲への感染を防ぐため、公共交通機関の利用を避けることが大切だ。
現在、日本は国内由来の麻しんウイルスが存在しない「麻しん排除国」に認定されているが、現在の感染拡大が続けば、その認定が取り消される可能性もある。一人一人がワクチン接種の重要性を理解し、感染拡大を食い止めることが求められている。
(テレビ宮崎)