一枚の写真から街を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。

今回の舞台は、京都・京阪三条駅前です。

渡されたのは1964年(昭和39年)に撮影された一枚の古い写真です。

写真には室内で何かを作っている職人さんの姿が写っていますが、何をしているのかはパッと見ではわかりません。

【兵動大樹さん】「まあ職人さんやろなあ、なんか作ってはんねんけど」

写真の風景は見つかるのでしょうか?

■橋の工事?竹細工?茶杓?

さっそく道ゆく人に写真を見せて聞き込み開始です。

最初に声をかけた方からは「橋の工事してるとこやろか」という回答が。

続いての方は「竹やね」との答え。

さらに、ボウリングに行くという女性は写真をじっくり見て「茶杓(ちゃしゃく)」と即答しました。抹茶をすくう道具のことです。

【兵動大樹さん】「茶杓にしてはなんかデカいねんなあ」

橋の工事、竹細工、茶杓と、回答はバラバラ。

ただ、素材が「竹」であることだけはみなさん一致しているようです。
手がかりを求めて、兵動さんは三条の通りを歩き始めます。

■京言葉が店名に!おせんべい屋「KOETO SOETO」

歩いていると、気になる新しいお店を発見しました。その名も「KOETO SOETO」。

昔の京言葉で「これとそれと」という意味なんだそうです。

16種類のおせんべいを揃えるおせんべい専門店で、みたらしソースにディップして食べるスタイル。一番人気は「ねぎ味噌せんべい」です。

【兵動大樹さん】「ねぎの香りがちゃんと立ってる」

抹茶味のせんべいにみたらしソースをつけると、抹茶の濃さが引き立ちます。

ところが兵動さん、あまりのおいしさに何枚もディップせずにそのまま食べてしまいます。

お店の方にも写真を見てもらうと「神輿の製作?」という新たな回答が飛び出しました。答えはまだ見つかりません。

■竹の店から弓道体験へ

続いて向かったのは、おせんべい店の近くにある竹製品を扱うお店です。

昭和18年創業、80年以上の歴史を持つ「京都三条 竹松」には、竹籠、爪楊枝、花籠など、さまざまな竹製品が並んでいます。

【兵動大樹さん】「めちゃくちゃ(店の歴史が)古いですよ」

【店員の女性】「京都でそんなん言ったら笑われます」

百年くらいでは京都では笑われる 鉄板のやり取りです。

このお店では手作りの極細の竹箸が人気で、料亭でも使われているほど。

そしてここで大きなヒントが。
店員の女性が写真を見て「弓を作っているの違うかなと思います」と答えたのです。

竹を曲げて癖をつけている様子が、弓の製作に見えるとのこと。

京都に弓を作るお店が一軒あるという情報も得られました。

■弓道体験の気持ちよさに兵動さん大興奮!

歩いていると、なんと弓道体験ができるお店を発見!

弓道体験のお店「半弓道場」では、通常2メートル20センチある弓よりも短い弓を使います。

九州の島津藩が馬上の戦用に作り直したもので、軽く引けるのが特徴です。

【兵動大樹さん】「湧きますね!気持ちええ、これ気持ちええわ」

弦を引いて矢を放つ感覚にすっかり夢中になった兵動さん。

信長が鉄砲の戦に変えたことで弓は主役の座を降りましたが、流鏑馬(やぶさめ)など神様への奉納や弓道の精神として今も受け継がれています。

そして店主に写真を見せると「もちろん分かります。この業界では知らない人はいないですよ」と即答。

間違いなく弓を作っている場面で、場所は五条にある「柴田」さんだと教えてくれました。

■織田信長の時代から続く京都唯一の弓工房

いよいよ写真の場所、御弓師・柴田勘十郎さんの工房に到着です。

1964年の写真に写っていたのは、20代目の柴田勘十郎さん。
現在の当主は21代目です。

【柴田勘十郎さん】「初代が天文3年(1534年)。織田信長が生まれた年です」

なんと本能寺の変で信長のそばにあった弓と矢も柴田の弓だったというから驚きです。
「勘十郎」は代々受け継がれる本名で、先代が亡くなってから戸籍上の名前を変更するのだそう。

ところが先代がアメリカに渡って道場を建てたため、同じ戸籍に「柴田勘十郎」が2人存在するという珍事態に。

【柴田勘十郎さん】「車検証に柴田勘十郎の生年月日明記してないんですよ。どっちの車か分からん」

【兵動大樹さん】「すごいね、勘十郎漫談出来上がってますね」

■竹の弓に宿る職人の技と誇り

かつてこの界隈には弓屋さんがたくさんあり「弓座」という組合もあったそうですが、今では京都でここだけ。

弓作りの工程は驚くほど手間がかかります。
まず竹の素材だけで足掛け3年。乾燥させて色を抜くところから始まります。

写真に写っていたのは、部材を張り合わせて縄で締めている工程でした。

弓の内部には、竹だけでなく硬くて折れやすい材料も入っています。
竹の粘りと硬い材料の反発力、互いの性質が助け合って一本の弓ができるのです。

柴田さんと息子さんの2人で、月に約25張を製作。一本のお値段は10万円から15万円ほどです。

実際に完成した弓を持たせてもらうと、約600グラムの軽さに兵動さんは驚きました。

■「弓を使う人が弓のことを知らなさすぎる」

現在はカーボンやグラスファイバーの弓が主流ですが、竹の弓の引き心地は格別なのだそうです。

毎年夏には一週間かけて弓作りを体験するワークショップも開催しています。
「弓を使う人が弓のことを知らなさすぎる。もっと知ってほしい」という思いからです。

【柴田勘十郎さん】「ここまで続けられるのはおもしろさと達成感で仕事してるんちゃうかな」

織田信長の時代から500年近く続く京都唯一の竹の弓工房で、竹を知り、弓を知り、職人の誇りに触れた一日となりました。

(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2026年4月24日放送)

関西テレビ
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