GW中のこの時期、注意が必要なのが“春のクマ”です。
ことしは春のクマの生態に異変が起きている事が分かってきました。クマの生活リズムに変化があり、“冬眠入り”が遅く、“冬眠明け”は早いというのです。
関西各地で既に出始めている影響とともに徹底取材しました。
■クマ対策グッズの売り上げ急増!
大阪市北区にある登山とアウトドア用品の専門店「好日山荘」。
今、売れ行きが好調だというのが…クマよけの「鈴」から、「爆音クラッカー」まで、音の出るクマ対策のグッズです。
中でも、特に売れているというのが、一番安いもので1万9800円だという元祖クマよけスプレーです。
以前は、年に10本程度だったと言いますが、10倍近くの売れ行きだといいます。
■元“野生のクマ”が暮らす山中の寺を訪ねると…
まず取材班が向かったのは、実際に“春のクマ”を見ることができるという大阪府内の山の中。たどり着いたのは、大阪・豊能町にある高代寺。
【ディレクター】「巨大なオリがあって、見てください、中にクマがいます!」
【高代寺・福永耕秀住職】「とよ、とよ、とよちゃん」
住職が名前を呼ぶと寄ってきたのは、体長およそ1.3メートルのツキノワグマ「とよ」。12年前に寺にやってきました。
【高代寺・福永耕秀住職】「大阪府が殺処分ということになっていたので、『飼って下さい』という手紙が回ってきて。かわいそうやからね」
もともとは野生のクマで、町内の山でイノシシ用のワナにかかっているところを発見されましたが、近くに民家があるため山へ戻すことができず、大阪府は殺処分を検討しました。
それに待ったをかけたのが、クマの調査などを行う自然保護団体でした。行き場を探す中で、高代寺が「オリを建てていいよ」と申し出てくれたのです。3カ月かけてオリを作り、飼育許可も得て、「とよ」がここで暮らすことになりました。
■クマの生活リズムに変化…“冬眠入り”が遅く、“冬眠明け”は早い…
野生のころと変わらず、トヨは今も毎年冬眠します。担当者が毎日エサをあげ、今の季節はカラムシを夢中で食べているといいます。
しかしこの春、例年と明らかに違うことが起きました。
【日本熊森協会・小西慶子さん】「冬眠(入り)が遅れてしまったんすね。冬眠も本当なら3月半ばまでするんですけど、2月26日に冬眠明けてしまって、暖かかったので。もうだいぶ動き回ってる」
例年は3月末頃に冬眠を終え、この時期、とよはまだボ~ッとしているはずですが、ことしは暖冬で早く目覚め、活発に動き回っているのです。
気候の変化により、“この時期のクマの生活リズム”が変わっているそうです。
■“開園できない観光地” 全国で相次ぐ…
関西の観光スポットにも“春グマ”の影響が出ています。
取材班が向かったのは、京都府綾部市。こちらは観光名所「シャガ」の群生地です。
淡い紫色の模様が美しい花、「シャガ」は、例年この時期に見頃を迎え、多い年は1万人以上が訪れていましたが、ことしは開園を見送りました。
【水源の里老富・酒井省吾代表】「全国的にクマの被害、もう昨年も200名以上が被害に遭われてますからね」
この辺りでクマの目撃はまだないということですが、万が一のことを考えて開園を見送っていて、来年の見通しも立っていません。
【水源の里老富・酒井省吾代表】「今の時期は、もう白い花がいっぱい咲いてますよ。切ないですよ。ほんとに」
■京都・綾部市では今年に入り5件のクマの目撃情報が
綾部市全体でみると、今年に入り5件のクマの目撃情報が寄せられています。
クマの対応に当たった綾部市の担当者は…
【市の担当者】「この辺りで警察と一緒に監視を続けていたんですけども、そうしたら、その下のところからクマが顔をひょこっと出して。それが夜まで続いてという状況ですね」
オリを設置し、夜間も警戒を続けましたが、クマは朝になり山の方に移動したといいます。
■緊急時は市街地での発砲認める “警戒レベル”大幅引き上げの自治体も…
クマの行動を受けて、これまでの警戒レベルを大きく引き上げた自治体があります。
京都府南部の木津川市では、去年初めてクマの出没が確認されました。前例がない事態に、市は今年3月、緊急時に市街地での発砲を認める「緊急銃猟」に対応するための装備一式を5セット用意しました。
しかし、知識が少なく、探り探りで揃えた装備…
ディレクターが装着を体験するも…
【ディレクター】「これ長時間は無理。夏場とかやときついですね」
【木津川市農政課・木下勝史課長】「そうですね。フルフェイスなのでどうしても重たさもあるので暑いかなと」
■温暖化、過疎化、高齢化…「人とクマのすみ分け」に問題生じる
なぜ、春のクマはここまで人里に近づくようになったのでしょうか。
クマの研究を30年続ける日本熊森協会の室谷会長は「人とクマの住み分け」に問題があると指摘します。
【日本熊森協会・室谷悠子会長】「山がスギ・ヒノキの人工林、開発、温暖化の影響だったり、熊の生息に適さなくなった。一方で人里は過疎と高齢化が急激に進んで、耕作放棄地がたくさんあって、クマは里山のほうが住みやすくなりそれで下りてきている」
本来はお互いに出会いたくはない人とクマ。これ以上被害を出さないための対策が急がれます。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年5月1日放送)