東京電力ホールディングス(東電HD)は4月30日、2026年3月期の連結決算を発表。純損益は4,542億円の赤字となり、前年の1,612億円の黒字と比較すると約6,155億円のマイナスになるという。福島第一原子力発電所の廃炉関連費用として計上した9,000億円超の特別損失が重荷となってのしかかっている。
東京HDが公表した2026年3月期決算によると、電力小売り部門の競争激化による販売電力量の減少などで、売上高は前期比7.1%減の6兆3,285億円。本業のもうけを示す営業利益は燃料価格の低下が電気料金に遅れて反映される「期ずれ」により44.0%増の3,376億円だった。会社が自由に使える資金「フリーキャッシュフロー」は1,032億円の赤字で、8年連続のマイナス。
福島第一原発の廃炉関連費用として計上されている特別損失をめぐっては、2025年7月に示された3号機での燃料デブリの本格的な取出しに向けての工程案を踏まえた準備作業の費用などが含まれている。
工程案は、廃炉への技術的な観点からの助言や指導などを行う原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が一定の技術的な成立性を確認していて、3号機に残る燃料デブリに対し「気中での取出し」「一部の燃料デブリは充填剤で固めてそれごと取り出す」という工法で格納容器の“横”と“上”からそれぞれ燃料デブリにアクセスする計画。
放射性物質の飛散防止などのために設備や建屋を増設する必要があり、東京電力は「準備に12~15年かかる」としている。大規模取出しの開始は2037年度以降とされ、これまで掲げられていた目標である「2030年代初頭の着手」の達成は極めて困難な状況となった。
これを踏まえ、東電HDは2025年度第一四半期(4~6月)の連結決算で、燃料デブリの本格的な取出しの準備に向けた費用として9,030億円を計上。この期間としては過去最大の8,576億円の赤字に転落している。
廃炉にかかる費用は約8兆円と見込まれているが、2025年9月末時点での支出や見通しを含めると約5.4兆円にまで膨れ上がっている。そして、今後発生する作業も含め、廃炉全体の工程はまだ具体的には見えていない。
燃料デブリの大規模取出しが計画される3号機では、2026年3月に超小型の“マイクロドローン”を飛ばして格納容器の内部調査が行われた。東京電力が公開した映像には、かつて「核燃料の入れ物」だった“原子炉圧力容器”の底と見られる部分も映り込む。底部の断面と思われるものが見え、本来は圧力容器の中にあるはずの構造物が落ちている状況も確認できたことから、東京電力は「圧力容器に穴が開いていると推定できる」とした。
関係者は「穴が開いているよりは底が抜けているように見える」と話し、燃料デブリの本格的な取出しの実現に向けては不透明さも増す。
福島第一原発には1号機に279t、2号機に237t、3号機に364tの計880tの燃料デブリがあると推計されている。
国と東京電力は2051年までの廃炉完了を掲げている。