秋田・潟上市の「追分勲武館レスリングスポーツ少年団」に、全国の頂点に立った2人の小学生がいる。この春5年生になった鈴木利奈さんと石澤凛花さんだ。全国大会で結果を残した2人は、決して特別な環境ではなく、地元の道場で日々の練習を積み重ねてきた。マットの上で交わされる声と汗の中に、強さの理由があった。
道場に息づく「やって見せる」指導
潟上市天王にある追分勲武館レスリングスポーツ少年団。道場に入ると、子供たちの大きな掛け声が響き渡る。
年中の園児から中学生までが一緒になって練習に打ち込む姿は、地域に根付いたスポーツ文化そのものだ。
指導にあたるのは齊藤勝彦監督。県内の高校で36年間レスリング部を率い、32年前に息子の指導のためにこの道場を立ち上げた。
「自分でやって見せないと子供たちは分からない」と、齊藤監督は75歳になった今も自らマットに立ち、技を何度も繰り返して見せる。
異例の早さで全国制覇
2025年7月、東京で開かれた全国少年少女レスリング選手権大会。
小学生女子4年の重量級で優勝した鈴木利奈さんは、競技歴わずか10カ月で全国の頂点に立った。
「妹が先に練習していて、ついて行ったら楽しくて」と話す鈴木さん。レスリングは2024年9月に始めたばかりだ。
気軽なきっかけで始めたレスリングだったが、試合では決勝まで一度もポイントを奪われなかったという。
齊藤監督は「正直、優勝は難しいと思っていた。でも、教えた技を試合で出せるのは簡単なことじゃない。非凡なものがある」と当時を振り返る。
現在は、さらなる飛躍を目指し、体力強化にも力を入れている。
研究されても勝ち切る強さ
36キロ級で大会連覇を果たした石澤凛花さん。得意の片足タックルを軸に、守りに入らず攻め続けた。
「対策されていて、技がかけにくいと感じた。不安も大きかったが、頑張ってきたことを信じて勝つことができた」と語る石澤さん。
結果だけでなく、その姿勢も評価され、念願だった「辻ジュニアスポーツ賞」の受賞を果たした。
石澤さんは「いつか取りたいと思っていた賞。努力が形になって本当にうれしい」と、はにかみながら語った。
競い合い、支え合い、次のステージへ
同じ道場で切磋琢磨する2人は、良きライバルであり仲間でもある。
鈴木さんは「6年生まで優勝し続けたい」と前を見据え、石澤さんは「後輩たちにレスリングの楽しさを伝えていきたい」と目標を語る。
全国の頂点を経験し、さらに高い志をもって練習に臨む2人。
追分勲武館ではきょうも、子供たちが声を出し、汗を流しながら、それぞれの目標に向かってマットに立ち続けている。
(秋田テレビ)
