国連本部でNPT(核拡散防止条約)再検討会議が開幕した。広島からも横田知事や広島市・松井市長、被爆者らがニューヨークを訪れ、会議を傍聴したり再度イベントへ参加する。第11回となる今回、日本政府は総理や外相の出席はないなか、各国の厳しい国際情勢を背景に議論の行方に注目が集まっている。
会議の開幕と広島からの参加者
現地時間の4月26日未明、広島の被爆者を含む原水協の代表団がニューヨークのホテルに到着した。9か月で被爆した県被団協の佐久間邦彦理事長は「危機感と同時に、われわれの言っていることが間違っていないと感じてもらえるような運動をしていきたい」と述べ、被爆証言や会議傍聴を通じ積極的に発信していく意向を示した。
ニューヨークでの行進と市民の訴え
開幕に合わせ、現地時間の4月26日、ニューヨーク中心部で「ノーモアヒロシマノーモアナガサキ」とのシュプレヒコールとともに行進が行われた。現地の平和団体に加え、日本被団協や県被団協、高校生平和大使らが参加し、核兵器廃絶を訴えながら、約1キロを行進し、集会も開いた。日本被団協の濱住治郎事務局長は「世界の人々が力を合わせて何とか核のない世界を実現するんだという、そういう気持ちでやってほしい」と語った。
NPTの役割と会議の構成
NPTは1970年に発効した「核兵器の拡散防止に関する条約」で、現在191の国と地域が締約している。条約の三本柱は、「核拡散防止」、「核軍縮」、「原子力の平和的利用」で、核を保有する5カ国(米、露、英、仏、中)も参加する一方、核実験をしているインドやパキスタン、イスラエルなどは締約していない。再検討会議は5年ごとに開かれ、今回は第11回だ。現地時間の27日から来月22日まで約1か月にわたり議論が行われる。
議論の進め方と直面する課題
会議は第1週に一般討論やNGOスピーチ、第2・3週に三つの主要委員会での分科会議、最後の第4週に議長による最終文書案をもとに検討と交渉を行い、全会一致の成果文書を目指す流れだ。しかし、前々回(2015年)・前回(2022年)は合意文書を採択できず、その後も国際情勢はロシアによるウクライナへの侵攻や、中東でのアメリカやイスラエルによるイランへの武力攻撃など対立が続き、核を巡る緊張が会議の前提に影を落としている。
専門家はどう見る?
広島市立大学・広島平和研究所の梅原季哉教授は、NPT自体が今後踏みとどまれるかどうかが大きなポイントであると述べた。最終文書の採択は難しい状況ではあるが、最終文書への合意がない場合でも議長や声明や文書などで踏みとどまる何かが発出されるか、あるいは合意に至らず決裂するのかがポイントだと指摘する。
NPT再検討会議は、核をめぐる唯一の国際協議の重要な場だ。広島からの被爆者や自治体関係者、市民団体が現地で声をあげる一方、政治的対立や地域的な緊張が会議を難しくしている。各国が真摯に議論に臨み、二度とヒロシマやナガサキの惨劇を繰り返さないという被爆者の願いが届くのか。その行方が注目される。
テレビ新広島
