岩手県大槌町で4月22日に発生した山林火災は、29日で1週間となった。まとまった雨を受け、町は住宅への延焼の恐れがなくなったとして、長井地区を除く地域で避難指示を解除。住民からは安堵の声が聞かれる一方、煙や灰による生活への影響、農業被害など、火災の爪痕はなお残っている。
ほとんどの地区の避難指示解除
4月22日に大槌町の2ヵ所で相次いで発生した山林火災は29日で1週間、町内では29日午前9時までの24時間に9.5mmのまとまった雨が降った。
大槌町民からは「だいぶ(火は)落ち着いたかなという印象」「雨のおかげ人間の力では消せない感じ」などの声が聞かれた。
県によると、これまでの焼失面積は、小鎚地区と吉里吉里地区周辺、合わせて1633ha(28日午前6時時点)に達しているが、29日朝までの雨の効果もあり、町は住宅への延焼の恐れはなくなったと判断した。
平野公三町長は29日午後、ヘリコプターで空から状況を確認したうえで、長井地区の24人を除く3233人に対する避難指示の解除を決めた。
平野公三町長:
消防活動が続く中、引き続き不便をかけるが十分注意して生活いただきたい。
「我が家で寝るのが一番」
29日午後1時45分に避難指示が解除されると、避難所の一つ、城山公園体育館から自宅に戻る町民は安堵した。
沢山地区の住民からは「ほっとしている。あちこち泊まったけれど、我が家で寝るのが一番ですから」「ほっとしたんですけれど、家に戻ったら(煙で)臭くなっていて、換気をしている。鎮火に確実に近づいているなっていう感じ」「鵜住居の小中学校(に避難した)。この辺の避難所は満員になっちゃって。(避難所は)寒かった。この辺にもホースが来たり、守ってくれたみたいです。いない間に」などの声が聞かれました。
消防に感謝 住民が炊き出しで恩返し
避難指示解除に尽力した消防隊に、感謝を伝える動きも、吉里吉里地区では住民たちが緊急消防援助隊のために炊き出しを行った。
調理したのは、具がたっぷり入ったハヤシライスで、子どもから大人まで協力しながら約70人分を作った。
住民たちは、夜を徹して活動する消防関係者の姿を心配しながら見ていたと話す。
吉里吉里地区の住民からは「泥だらけで急な坂を上がって、戻ってくる姿を見て、恩返しになるなら、温かいものを届けたいねと」「みんなの家を守ってくれてありがとう」など感謝の言葉が聞かれた。
調理したハヤシライスは、吉里吉里地区にある援助隊の拠点施設に届けられた。
生活への影響続く 煙と灰の悩み
一方で、山林火災による生活への影響は続いている。
町内のコインランドリーでは、洗濯物を持ち込む人が多く見られた。
町に漂う煙や灰の影響で、衣類や布団を外に干せない日々が続いたため、こちらでは特に乾燥機の利用が増えていて、普段の倍以上の利用客が訪れる。
大槌町民からは「元々干していたものも臭いが付いて、洗い直したりして、まとめて持ってきた。洗濯物持ってくる時(混雑で)使えないかと思っていたが、使えてよかった」「まだ灰とか出てくるので、もう少しだけ中干し(中心)で」などの声が聞かれた。
「苗箱」全て焼ける被害
今回の火災で被害を受けた小鎚地区の佐々木準吉さんの住宅では、さらなる被害を防ぐため、水を貯めたバケツが置かれていた。
佐々木さんの住宅では発生当日の4月22日、飛び火によって農業用ハウスやかつて使っていた牛舎が全焼した。
佐々木準吉さん:
なんとも言えない、この通りハウスもやられて、飛び火で。
ハウスの中には、田植えに備えて種をまいたばかりの「苗箱」があり、全て焼けたため、一から苗を作ることになったが、今はとにかく鎮圧だけを願っている。
佐々木準吉さん:
なんとか早く収まってほしい。
町では避難指示が残る長井地区について、熱源の確認や倒木の撤去などをした上で、解除を検討する。
