東京都が10月から支給を開始した「卵子凍結」にかかる費用の助成に、申し込みが相次いでいます。

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小池百合子都知事:
子どもを産み育てたいと、そのような希望があるけれども、様々な事情によってすぐには難しいなという方にとって、卵子凍結というのは将来に妊娠に備える選択肢の一つであります。

助成の対象は、都内に住む18歳から39歳までの女性。都の指定する医療機関で「卵子凍結」を行った場合、最大30万円の助成金が支給されます。

助成を受けるには、都が開く説明会への参加が必要になりますが、その説明会への申し込みが、28日までに5000人を超えたというのです。

2年前の34歳の時に、将来に備え「卵子凍結」を決断したという女性は、都の助成金についてこう話します。

卵子凍結した女性(36):
だいぶ負担が軽くなるのと、やってみようという人が増えると思うので、いい動きなんじゃないかなと思います。

都が指定する、卵子凍結を行う「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」の岡田有香院長も、「子どもが欲しいと思ったときに、可能性を高められる」といいます。一方で、こんな指摘も…。

岡田有香院長:
健康な女性に注射を打ったり、採卵処置をするということになりますので、そういった意味で身体的な負担っていうのがあります。

「卵子凍結」にかかる費用や注意点は? 専門家に詳しく聞きました。

卵子凍結の費用は?リスクは?

2021年に助成制度を開始した、病気などを理由とした「医学的な卵子凍結」に加えて、10月から始まった「社会的な卵子凍結」への助成制度。
これは、現在パートナーはいないが、将来妊娠できるようにと「未受精の卵子」を冷凍で保存することができるのです。

不妊治療に詳しい、産婦人科医の宋美玄氏は、2022年に卵子凍結を行った人は約1000人いるといい、年々「卵子凍結」という選択に注目が集まっていると話します。

宋美玄氏:
やはりどうしても女性の生物学上的な“産み時”をキャリア形成とか、人生の色々なイベントがどうしても重なる運命になっているので、高齢になると不妊になるということも常識化してきて、(卵子凍結への)注目は年々高まっていると思います。

通常卵子凍結には、初期費用や保管費用などを含めて、約100万円ほど(25歳~35歳まで卵子を保管した場合・めざまし8調べ)費用がかかりますが、東京都の助成金は、卵子凍結を実施した年度で上限20万円、次年度以降は1年ごとに一律2万円(最大5万円)で、最高30万円の助成金が受けられます。

矢沢心氏:
今仕事をされている方とか、晩婚化もそうですし、持病を持っている方、病気がある方とかもいらっしゃると思いますので、そのライフスタイルに伴って今の時代に沿ったものだなと思いました。また、これが東京を始めとしているので、各地でもこれが広がればいいなと思うのですけども、私が不妊治療した経験からして、「卵子を凍結する」といっても、一回目ですぐ卵子を凍結できるとは限らないんです。
そこまでいく、色々なプロセスもありますし、時間もかかるので、そういった意味で、本当の意味でお母さんになりたい人たちにとっては、助成金というのはとてもありがたい制度だと思います。

小室瑛莉子アナウンサー:
卵子凍結という選択が身近になってきたんだなというのは感じるんですけれども、まだ確実ではないというところ、パーセンテージなどを気にすると、まだメリットデメリットというところでいうと、自分の中で知識が曖昧で未熟なところがあるので…。しっかりと勉強をして、選択肢として考えていくのはありかなと思っています。

――メリットとデメリットは?
宋美玄氏:

メリットは、パートナーが決まっていない人でも凍結ができると言うことと、今いるパートナーとの子どもが将来欲しいかわからないというか、未来のパートナーとの子どもが作れるというメリットがひとつ。あとはどうしても、若い卵の方が、染色体異常が少なくて、流産や不妊のリスクが少ないんです。なので、やはり若い卵を凍結できるというメリットはあります。
デメリットとしては、採卵までに注射を何回も打ったりですとか、仕事を調整して通院したり、採卵も膣の奥に針を刺すので、結構負担にはなるんですね。肉体的な負担と、あとは費用面、不確実な部分というのがデメリットになると思います。

「一歩進める」“卵子凍結”という選択肢

今回の制度は、受けるためには、まず都内に住む、18歳から39歳までの女性であること。都が開催する説明会への参加や、都が実施する調査への継続的な回答など複数の要件を満たす必要があります。

また、凍結した卵子の売買や、譲渡、第三者への提供や海外への移送はいかなる場合でも行えません。

さらに、「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」の岡田有香院長によると、卵子凍結を受ける際の注意点として、「若い頃に凍結した卵子を使っても、45歳を超えての妊娠は合併症などを引き起こす可能性が高い」といいます。

MC谷原章介:
本来こういう選択肢は大事だと思うと同時に、女性がキャリアアップをしながら、子育てもできるそういう社会のバックアップ体制を早く作ってほしいなと。ただ、一歩踏み出すことの意味というのはとてもあると思うんです。
大事なことは、女性が産みやすい環境を作ること。男性と比べて二者択一を迫られている現状もあるわけじゃないですか、そこを変えていきたいですよね。

宋美玄氏:
そうですね、これは女性の選択肢としては絶対にあってほしいものなんですけども、公費で助成して何を目標にするかというと、若いうちに産み育てられる社会というのを自治体としては優先すべきではないかなと思うんですけども、ただこういったことで、技術が進んで費用も安くなれば、それはそれでありだと思うので、少なくとも多くの方が説明会で、きちんと生殖とか、卵子凍結について情報を得る機会があるというのは、いいことだと思うので、見守るのが良いのかなと思います。

矢沢心氏:
説明会というのは、分からないことがすごく多いと思うので、説明会に行って、自分の体への負担だとか、自分のライフスタイルに合うかどうかというのも、見合ったものから考えればいいと思うんですけども、この説明会があることによって、本当に必要な人たちが一歩進めるというのは大きな事だと思います。
(めざまし8 11月8日放送)