岩手県紫波町の山林で、行方不明の女性を捜索していた警察官がクマに襲われ、近くで女性とみられる遺体が見つかった。専門家は「一度人と接触したクマは極めて危険」と警鐘を鳴らす。活動時期の前倒しや山菜採りの増加など、クマとの遭遇リスクが高まる中、注意点を整理する。
二次被害の危険性指摘
4月21日、紫波町の山林で、行方不明の女性を捜索していた50代の男性警察官がクマに襲われ、顔などに大けがをした。クマはその場で駆除された。
その後、現場周辺ではクマに襲われたとみられる女性の遺体が見つかった。
この事例について、クマの生態に詳しい岩手大学の山内貴義准教授は次のように語る。
岩手大学・山内貴義准教授:
(女性は)クマとおそらく至近距離で遭遇してしまってクマに襲われた。その後に警察官が捜査に入って襲われて、二次被害という形になってしまった。一度人間と接触した個体の取り扱いは非常に難しい。次に人が近づいたときに、ものすごく狂暴になる。
クマ活動時期の前倒し
その上で、2026年はクマの活動時期そのものが例年より早まっているという。
山内准教授は、「通常クマは3月ぐらいまで冬眠しているが、今年は春先に暖かい日が続いて、冬眠明けがかなり早い。3週間くらい早い。冬眠明けが早くなると、早い時期からクマが活発に動き始める」と説明する。
また、2025年の秋に人里に現れた個体が、再び出没している可能性も指摘する。
岩手大学・山内貴義准教授:
(去年)秋に出没した個体が、里の味、人間の周りにおいしいものがあると学習し、多くの個体が今出没していると思う。
山菜採り時の遭遇対策
この時期、特に注意が必要なのが山菜採りだ。山内准教授によると、人が食べる山菜とクマが食べる山菜がほとんど重なるため接触してしまう確率が高いという。
岩手大学・山内貴義准教授:
人間は山菜採りに入るが、実はクマも山菜が大好きである。人間が食べる山菜とクマが食べる山菜はほとんど重なり、どうしてもクマと接触してしまう確率が高くなる。人間が(山菜に)近づくと猛烈に攻撃してくる。
遭遇を防ぐためには、鈴やラジオ、笛などで音を出し、人の存在を知らせることが有効だという。
そのうえで山内准教授は、特に見通しの悪い場所では、笛を吹きながら進むことを勧めている。また、早朝や夕暮れ時といったクマの活動が活発な時間帯の入山は避けるべきと呼びかけた。
今後、クマは繁殖期を迎え、さらに気性が荒くなるおそれがあり、山に入る際には一層の注意が必要である。
