これは、差別とは言えないのか。
北海道札幌市の地下歩行空間で開かれたアイヌ民族に関するパネル展に対し、差別の助長につながると抗議の声が広がっている。
地下歩行空間を管理する札幌市の対応は?
3月16日に札幌市中央区の地下歩行空間で開催された、アイヌ民族に関するパネル展。
会場では批判の声が上がった。
「あまりにひどいと思い、ショックでした。『北海道旧土人保護法が至れり尽くせり』という記述を見てびっくりしました。アイヌが優遇されていましたか、日本で?」(展示に抗議する人)
「この展示に問題があるなら、アイヌは先住民族だという展示をやればいいと思うんですが」(展示に賛同する人)

019年に施行されたアイヌ施策推進法では、アイヌを先住民族と明記し差別や権利侵害を禁じている。
しかし、約30枚のパネルの中にはアイヌが先住民族であることを疑問視する記述も見られた。
また、強制的に和人との同化政策を進める根拠となった「北海道旧土人保護法」を、アイヌにとって至れり尽くせりだったなどとしている。
同様のパネル展は2025年にも開かれ、批判の声が上がっていた。
「表現の自由という言葉が飛び交っているが、とんでもない話だ」(抗議する人)
4月8日、複数の団体が地下歩行空間を管理する札幌市に対して申し入れを行った。

これに対して札幌市は。
「北海道旧土人保護法を至れり尽くせりという評価は、札幌市の認識とは異なる。一方で、施設の使用承認をするかしないかは別の観点で考えなければいけない面もある」(札幌市の担当者)
パネル展の内容は札幌市が承認・支持するものではないとした上で、使用の制限には慎重な姿勢を示した。
地方自治法は公共施設の使用について、自治体が正当な理由がない限り拒んではならないと定めている。

「正当な理由があれば拒否することができるが、きわめて限定的。アイヌ施策推進法で定める差別に当たるのか当たらないのか、法の解釈を国に対して求めガイドラインを示してほしいと言ってきた。これは、求め続ける」(札幌市 秋元克広市長)
秋元克広札幌市長はアイヌ施策推進法で禁じている差別について、国に基準を明確化するよう求めている。

札幌市のこのような判断の背景には、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いがあるとみられる。
法律の専門家は。
「表現行為をするのは重要な人権で、安易に制約はできない。(制約を容認すれば)行政にとって都合が悪い集会や、アピールをする団体などを制限しやすくなる。気に入らない言論を封じることは、自分の口もふさがれることになりうる」(林朋寛弁護士)

市民の間でも意見が分かれる。
「偏ったり、一定の人を傷つけたりする内容であってはいけないと思う」(札幌市民)
批判的な意見に対して、こんな意見も。
「展示を見るのは自分たちの権利?」(記者の質問)
「もちろん、そうです。差し止めをすることは間違っている」(札幌市民)
札幌市は2025年、差別や偏見のない社会をめざすという条例を施行した。
そんな中での、今回の問題。
もちろん表現の自由は保障されなければならず、内容への介入は検閲になりかねない危険性をはらんでいる。
しかし、それが差別や人権侵害につながってはならない。

「多くのアイヌは、かつての傷を負ったまま生きてる。その状況で繰り返しヘイトの展示をされていくと若者も傷つくし、「まだそういう時代なんだな」と感じる。違いを認めつつ、敬意を持ち合うことを目標にしているのに」(札幌アイヌ協会 結城幸司共同代表)
札幌市は今後、第三者を交えて対応を検討するとしている。
解決策は示されるのか。
