福島県富岡町で、町内でブドウの栽培から醸造まで一貫して行った初めてのワインが完成しました。原発事故で全町避難を余儀なくされた町で始まったプロジェクトは、震災前の人口と同じ約1万6000本のブドウの木を育て上げ、復興への思いを桜色のワインに込めています。

初の“100%富岡産ワイン”

2026年4月5日、夜の森の桜に彩られた福島県富岡町で、もう一つ花を咲かせていたものがありました。
町内でブドウの栽培から醸造まで行った、初めての100%富岡産ワイン『とみおかさくらロゼ』です。

とみおかさくらロゼ
とみおかさくらロゼ
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とみおかワイナリーの社長・遠藤秀文さんは「富岡で採れたブドウを何種類かブレンドしています。軽やかな、フレッシュなベリー系の味わいもある」と説明します。
味わった人からは「飲みやすい」「おいしいです」「富岡町のこれからの発展に最高。これをきっかけにもっともっと盛り上がってくれれば良い」といった声が聞かれました。

夜の森桜まつりでワインを味わう(2026年4月5日)
夜の森桜まつりでワインを味わう(2026年4月5日)

遠藤さんは「富岡の避難されている方とか、これから来られる方とか、ここに足を運ぶ方が、何か可能性を感じて『あ、自分達も』っていう一歩踏み出せる存在になれば良い」と話します。

原発事故から始まった挑戦

原発事故で一時、全町避難を余儀なくされた富岡町。
このプロジェクトが一歩を踏み出したのは、震災から5年後の2016年。町で初めて特例での宿泊が認められた年でした。

2016年 有志たちとブドウ畑を整備する遠藤さん
2016年 有志たちとブドウ畑を整備する遠藤さん

富岡町出身の遠藤さんは、ふるさとを再び実りある街にしたいと、有志で集まった町民とワイン用のブドウ栽培を開始しました。
町の復興に合わせて少しずつ増えたブドウの木は、震災前の町の人口と同じ約1万6000本にまで達しました。

富岡町で育ったブドウ 震災前の町の人口と同じ約1万6000本に
富岡町で育ったブドウ 震災前の町の人口と同じ約1万6000本に

遠藤さんは「震災前の賑わいをどのようにこれから回復して、再生していくかといったところを、ワインを通じて少しでも貢献できれば」と語りました。

桜色に込めた思いと新たなワイン

4月7日、天皇皇后両陛下と愛子さまが訪れた夜の森の桜並木は、町民にとってふるさとの誇りそのものです。

2026年4月7日 桜並木を通られる天皇ご一家
2026年4月7日 桜並木を通られる天皇ご一家

『とみおかさくらロゼ』も、ワイングラスを満たす桜色に町の復興への思いを詰め込みました。
そして、完成したばかりの新たなワインが『とみおかアルバリーニョ』です。

とみおかアルバリーニョ
とみおかアルバリーニョ

遠藤さんは「辛口でありながら、非常にフルーティーな爽やかな香りが漂う。そのままの果汁がワインになってきたということで、すごく素直な味」と評価します。

世界に認められるその日まで

2025年に収穫したブドウで作られたシャルドネやメルロなど、4種類の100%富岡産ワインは、5月にワイナリーのオープン1周年を記念して開かれるイベントで販売する予定です。

栽培から醸造まですべて富岡町で
栽培から醸造まですべて富岡町で

遠藤さんは将来の展望を次のように語ります。
「この土地のブドウの品質を、どこまで上げられるか。テラスから、また車窓から、ブドウ畑を見た時に、そこに力強さというか、エネルギーを感じるようなブドウ畑になれば。いずれ、日本人だけじゃなくて世界の方が、ここでこんな良いワインができるというところを認めてもらえるような場にしていきたい」

とみおかワイナリーの社長・遠藤秀文さん
とみおかワイナリーの社長・遠藤秀文さん

富岡の誇りが世界に認められるその日まで、遠藤さんの挑戦は始まったばかりです。
(福島テレビ)

福島テレビ
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