新入社員を迎える春。入社初日で会社を辞める人もいるという「Z世代の超スピード退職」が近年話題となっている。退職代行サービスの利用も広がる中、広島の街ではこの現象をどう受け止めているのか。若い世代とベテラン世代、それぞれの本音を聞いた。

「見切りが早くていい」理解示す若者も

広島市中区の本通で話を聞くと、若い世代を中心に「早期退職も選択肢」と受け止める声があった。

30代・美容業
30代・美容業
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美容師として働く30代の男性は、美容業界でも退職代行の利用をよく耳にするとしたうえで、こう語る。
「もともと離職率が高い業界ではある。うちの美容室ではまだないけど、初日で辞めるのも、いい意味で“見切りをつけるのが早い世代”だと思う」
こうした価値観を持つ若者たちは、一般に1990年代中盤から2010年代序盤生まれの“Z世代”にあたる。
「企業側も早期離職をある程度見越して、内定を多く出すとも聞くので、ダメじゃないと思いますけど」と、男性は一定の理解を示した。

20代・保険サービス業
20代・保険サービス業

一方で、同じZ世代でも戸惑いを隠せない人もいる。保険サービス業に勤める20代の女性は、「正直、私にはわからない感覚です」と話す。
「自分が入社するまでに、いろんな方が携わって準備してくれている。少しは耐えてみて、誰かに相談したうえで、それでも無理なら辞める、というのが自分の考えです」

「卑怯かな…」ベテラン世代から喝!

少し厳しい意見も聞かれた。
建設業の70代男性は、「ちょっと卑怯かな」と率直に語る。
「自分で決めて入ったなら、何か月かは経験しないと、いいか悪いか判断できない」

70代・建設業
70代・建設業

人間関係を理由に辞めることについても、「人間関係は自分で作っていくもの。会社が与えてくれるものではない」とし、企業側だけでなく働く側の努力も必要だと指摘した。

「辞めやすい時代」企業側も変化

一方、退職する本人だけでなく、送り出す企業側の意識も変わりつつあるようだ。
リサイクル業に勤める40代の男性は、部下が入社後すぐに辞めた経験を明かす。
「初めて聞いたときは衝撃でした」

40代・リサイクル業
40代・リサイクル業

ただ、引き留めはしなかったという。
「決めるのは本人。嫌々やってもいい仕事はできない。続けられる子が続けてくれたらいい」

30代・製造業
30代・製造業

また、製造業の30代女性は、同期が入社後にスピード退職したという。
「これからってときにショックでした」と寂しさを感じつつも、時代の変化を口にした。
「昔より辞めやすい。辞める人が多い分、辞めることへの抵抗も少なくなっていると思う」
中途採用の増加などで人材の流動化が進み、「社内の人の流れは早くなっている」と実感している。

専門家「ある意味、責任を果たしている」

労働問題に詳しい「アディーレ法律事務所」の島田さくら弁護士によると、広島でも年々、退職代行の依頼件数は増えているという。

アディーレ法律事務所 労働担当・島田さくら 弁護士
アディーレ法律事務所 労働担当・島田さくら 弁護士

背景には、「会社としてのダメージがあまりなく、引き留める企業も少なくないのでは」との見方がある。さらに、無断で姿を消すのではなく、退職の意思を伝える手段として利用することについては、「ある意味、責任を果たしているとも言える」と指摘する。

働くことへの価値観が多様化する中、“すぐ辞める”という選択をどう捉えるか。“責任ある退職”の形もまた、変わり始めているのかもしれない。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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