『天下の台所』大阪を支える道具屋筋商店街。そこにある包丁専門店には多くの外国人の姿が。
アメリカから来た男性は2万5千円の包丁を3本購入。スイスからきた男性は妻のためにおよそ4万円で包丁を購入した。
スイスからの観光客:2つ。安くはないけど、円安だからリーズナブルだよ。
このように世界から注目される日本の伝統工芸品の一つ「包丁」。
堺市によると、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで“包丁”にも注目が集まり、SNSなどでも世界中で知られるようになったという。
一方、SNS上では、有名産地の1つ・岐阜県関市をかたった「ニセ広告」が。
ニセ広告のナレーション:3年連続で日本の包丁カテゴリで販売数一位を誇る、岐阜県関市の包丁が、ついに値下げされました。
ナレーションでは「関市(せきし)」を”カンシ”、「値下(ねさ)げ」を“アタイモトゲ”と、読みんでいるのだ。
さらに刃物店を名乗るアカウントから“包丁をPRする動画制作”の依頼を受けた人が「72万円」をだまし取られる詐欺被害にあうという事例も。徹底取材した。
■包丁を6本爆買いする料理人も 高額でも人気の日本の包丁
オーストラリアから来た料理人の男性が手に持っているのは、なんと1本14万円の包丁。
オーストラリアの料理人:この包丁かっこいいよ。お金を払う価値がある。長持ちするからね。
短時間の説明で即購入し、なんと、今回の日本滞在で合計6本もの包丁を買っていたのです。
オーストラリアの料理人:6本!はい使うのがとても楽しみだよ。

■日本の包丁の売上は“過去最高”を更新
こうしたインバウンド需要を背景に日本の包丁の売上は右肩上がりで推移。先月発表された統計では“過去最高”を更新した。
海外から注目されている状況を刃物をつくっている職人はどう思っているのだろうか。
創業から150年以上になる堺市の水野鍛錬所を訪ねた。
(Q.熱そうですね)
水野鍛錬所・刀匠 水野淳さん:熱いですよ。だいたい800度くらいで叩いていくんで。“鉄は熱いうちに打て”っていますからね。
戦国時代に鉄砲が伝来した堺では、その生産技術を生かして刃物づくりが発展。

■和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで“包丁”にも注目が集まる
こちらの工房でも、一本一本手作業でつくられ、完成まで2週間ほどかかるという。
水野鍛錬所・刀匠 水野淳さん:この和包丁の仕組みっていうのは、やっぱり全部手仕事でしかできない仕事になってくるんですよ。打って打って、叩いて叩いて作るから、型抜く仕事じゃないんで。だからすごく手間暇、時間、労力、お金いっぱいかかってくる。
堺市などによると、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで“包丁”にも注目が集まり、SNSなどでも世界中で知られるようになったそうだ。
水野鍛錬所・刀匠 水野淳さん:初めて来られるお客さんでも、『Hi,Jun』から始まります。知ってくれてるんですよね。
昔からずっとやってきた伝統的な技術っていうのが再発見されて。日本人はもちろんのこと、外国の方に理解していただいて、喜んで使ってもらえるっていうのは、職人冥利に尽きるんじゃないでしょうか。本当にありがたいこと。

■「関市(せきし)」を“カンシ”、「値下(ねさ)げ」を“アタイモトゲ”…包丁のニセ広告
しかし、その裏でこんな問題も…
ニセ広告のナレーション:3年連続で日本の包丁カテゴリで販売数一位を誇る、岐阜県関市の包丁が、ついに値下げされました。
肉や紙をスパスパと切り「最安値」などと宣伝する動画。SNS上で出回っている岐阜県・関市(せきし)の包丁をうたう“ニセ広告”だ。
ナレーションでは「関市(せきし)」を”カンシ”、「値下(ねさ)げ」を“アタイモトゲ”と、読み間違えている。
動画にある「国際ナイフ金賞」は存在しない大会とみられ、刃には「中国」の文字が入っている。
ニセ広告は他にも福井県・鯖江市のメガネ、兵庫県・豊岡市のかばん、新潟県の燕三条のフライパンなど、日本各地の工芸品をうたったものが横行していて、それぞれ地元の組合などが注意を呼び掛けている。

■実在する刃物店名乗るアカウントから“包丁をPRする動画制作”の依頼 72万円の詐欺被害
さらに、伝統工芸品をめぐっては詐欺被害も…
SNSで料理レシピなどを発信する料理研究家の女性は、去年、堺の刃物店を名乗るアカウントから“包丁をPRする動画制作”の依頼がきたという。
料理研究家かんちゃん:老舗の名の知れた、長く伝統のあるメーカーさんだと見えない信用というか、信頼みたいなものはありましたね。
女性はその後、”審査のために入金が必要”などといわれたため現金を振り込みましたが、「不備がある」などの理由で追加の入金を求められ、あわせて72万円をだまし取られたというのだ。
料理研究家かんちゃん:日本の誇る伝統品を、エサにしてお金をだまし取るというのは本当に許せないですし、自己嫌悪もありますし、なんでだまされちゃったんだろう。

■悪用された刃物店は「本当に怒りしかなく…」
名前を悪用された「青木刃物製作所」は堺市に実在する刃物店で80年近い歴史を持つ老舗だ。
守ってきた伝統が悪用されたことについて、憤りをあらわにする。
青木刃物製作所 青木俊和専務:本当に怒りしかなく、ブランドを傷つけられたみたいなそういう感じですね。
青木刃物製作所 青木俊和専務:僕らもプライドを持ってやっている部分があるんで、ただのお金儲けの道具にするという事自体は刃物職人さん怒り心頭だと思います。
世界で評価される日本の伝統に忍び寄るニセ物の脅威。防ぐ手だてはあるのだろうか。

■橋下氏「SNS事業者にニセ広告の責任を問うべき」
元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は、こうしたSNS上のニセ広告への対策ついて、SNS事業者に責任を問うべきだと指摘した。
橋下徹氏:最終的には僕は、SNS事業者の責任を問うていかないといけないと思います。
橋下徹氏:新聞、テレビは広告を載せるときにものすごく厳重な審査をしますから。SNS事事業者は莫大な売り上げを得ているわけだから、そこの審査基準を事業者の方にもう少し厳しく問うてもいいんじゃないかなって。
橋下徹氏:いろんな改正の中で、日本に代表の窓口を置かないといけないようになったので、そこに責任を問うていくという1つのやり方があると思いますね。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年4月8日放送)

