SNSで日本のご当地ブランドを悪用した偽広告の被害が相次いでいる。兵庫・豊岡市の鞄や岐阜・関市の包丁などが標的となっている。さらに、大阪・堺市の刃物店を名乗ったPR動画詐欺では、料理研究家が72万円をだまし取られるなど、手口は多様化している。
「経営難で在庫一掃セール」豊岡鞄が偽広告の標的に
生活に身近な商品をターゲットに、SNSを通じて被害が広がっている偽広告問題。今、狙われているのは日本が誇るご当地ブランドだ。

新たなターゲットとなったのは豊岡産の鞄だった。
偽の広告動画:
日本「鞄の聖地」兵庫県豊岡市原産のボックスタイプ大容量バックパックの生産を永久に終了致します。
日本有数の鞄の産地として知られる兵庫・豊岡市の名前を勝手に使った広告動画。
偽の広告動画:
半年前職人たちが総力を結集し「空間魔術師」と称される超大容量バックパックを完成させました。しかし、その耐久性が過ぎるほど優れており、お客様が再度購入する必要がほとんどなくリピート率が極端に低迷。

鞄の耐久性が高すぎるがゆえ再購入する人が少なく、経営難に陥っているなどとアピール。
偽の広告動画:
結果会社は深刻な経営難に陥りました。この1000年の匠の技を守り職人たちの給与を確保するため、原価を割る超特価で最後の在庫一掃セールを実施いたします。

「超特価の在庫一掃セールを行うので、鞄を買って欲しい」と懇願している。しかし、地域ブランド「豊岡鞄」を販売するオフィシャルショップ運営元・豊岡まちづくり(株)の天野實さんは「これは偽広告だ!」と憤りを隠せない様子だ。
豊岡まちづくり(株)・天野實さん:
全く関係ないです。(内容は)全く架空の話で誤解を招く。ブランドにとって非常にネガティブな内容。

鞄の一大産地である兵庫・豊岡市。中でも組合が定めた基準を満たした企業が生産し、審査に合格した製品だけが「豊岡鞄」として認定される。
その歴史は古く、ルーツは1200年前の奈良時代に柳細工で作られたカゴだと言われている。
それを知ってか偽広告にも「1200年匠の技」などと表記されているが、一方でこれまでの偽広告と同様に日本語がおかしな点があった。

偽の広告動画:
独自開発の180度貝殻式フルオープン構造で中身が一(ヒト)目瞭然。世界中のトラベルインフルエンサーやデジタルノマドがまとめ買(カ)いで爆買い中(ナカ)です。
担当者は豊岡鞄ブランドの信頼低下につながりかねないと心配していた。

豊岡まちづくり(株)・天野實さん:
信頼や豊岡の名前のブランドを低下させるとか、お客様にご迷惑をかけるところが一番懸念点です。
豊岡鞄は公式ホームページで偽広告への注意喚起を掲載。極端に低価格な商品や日本語がおかしい商品ページなどへの注意を呼びかけている。
関市の包丁も偽広告の被害…おかしな日本語も
被害が広がり続けるSNSの偽広告。

外国人観光客がこぞって購入するなど、世界から注目されている日本の包丁もターゲットとなっていた。

偽の広告動画:
3年連続で日本の包丁カテゴリーで販売数1位を誇る岐阜県関(カン)市の包丁がついに値下げ(アタイモトアゲ)されました。
分厚い肉や紙をスパスパと切り、さらには水の入ったペットボトルも真っ二つ。切れ味鋭い包丁が「最安値」などと宣伝する広告動画。これは世界三大刃物産地の一つとされる岐阜・関市の包丁をうたう偽広告だ。

動画に書かれた「国際ナイフ金賞」は存在しない大会とみられ、包丁の刃には中国の文字があった。さらにナレーションでは「関市」を「カンシ」、「値下げ」を「アタイモトゲ」と読み間違えている。
関市は偽広告の問い合わせが増えているなどとして注意を呼びかけている。
堺市の刃物店名乗るPR詐欺で72万円被害も
海外でも注目される日本の包丁をめぐっては詐欺被害も起きている。

料理研究家・かんちゃん:
PR案件詐欺被害にあいまして、トータル72万円。

被害を訴えるのは、SNSで料理レシピなどを発信する料理研究家「かんちゃん」。2025年大阪・堺市の刃物店を名乗るアカウントから「包丁をPRする動画制作」の依頼が来たという。
その後「審査のために入金が必要」などと言われたため、現金を振り込んだが「不備がある」などの理由で追加の入金を求められ、合わせて72万円をだまし取られたという。

料理研究家・かんちゃん:
日本の誇る伝統品をエサにしてお金をだまし取るというのは本当に許せないですし、自己嫌悪もある。
このPR動画詐欺に名前を悪用された刃物店からは怒りの声が上がった。
日本有数の刃物の産地である大阪・堺市の包丁をPRする動画の制作を依頼し、72万円をだまし取るというPR案件詐欺。名前を悪用されたのは堺市で80年近い歴史を持つ老舗「青木刃物製作所」だ。

青木刃物製作所・青木俊和専務:
怒りしかなく、ブランドを傷つけられたみたいな感じ。ただのお金もうけの道具にするということ自体は、刃物職人さん怒り心頭だと思う。
(「イット!」4月9日放送より)
