世界的な抹茶ブームが到来していますが、その影響が意外なところに現れています。
これから新茶の季節を迎えますが、その原料となる煎茶が今、ピンチを迎えています。
世界を魅了する“抹茶ブーム”の裏で、お茶の農家では緊急事態が起きていました。
農家:
正直過熱しすぎ。今までのお抹茶の流通がガラッと変わってしまった。
9日に取材班が向かったのは、東京・浅草にある抹茶スイーツ専門店「雷一茶 お抹茶体験店」。
店内には、多くの外国人観光客が詰めかけていました。
皆さんのお目当ては、石うすでひいた一番茶葉を使用した濃厚な抹茶アイス。
ぷるぷるのわらび餅などが入った“抹茶三昧”のスイーツを味わうことができます。
外国人観光客からは「I LOVE 抹茶」「抹茶が好き」などの声が聞かれました。
休日には行列ができるほど人気だというこの店では、気軽に楽しめる“お抹茶体験”も開催。
多くの外国人観光客が参加するなど、“抹茶ブーム”は過熱する一方です。
雷一茶 お抹茶体験店・高橋獅堂店長(高ははしごだか):
8割ほどは海外のお客さまがいらっしゃっている印象。抹茶を知らないから知ってみようというお客さまより、ことしは抹茶が好きで来ましたという方が増えた感じ。
世界で人気が高まる抹茶。
しかし、お茶農家からは「抹茶は工場の生産能力が限界くらいまで生産している。これ以上増やすことは難しい」という悲鳴が聞こえてきました。
世界的な“抹茶ブーム”が到来し、売り上げも好調な「雷一茶 お抹茶体験店」で値上げをした商品がありました。
一般的に緑茶としてなじみがある煎茶。
静岡県産のティーバッグが値上がりしていたのです。
そこで、取材班が向かった埼玉・狭山市にある煎茶を生産するお茶農家「奥富園」では、緊急事態が起きていました。
奥富園・奥富雅浩15代目園主:
そちらが機械で刈る煎茶の畑。ぐるっと回ってカバーをかぶせてあるのが抹茶の畑。
この農家では海外から抹茶の注文が後を絶たず、これまでは煎茶と抹茶の割合は2対1でしたが、2025年からは割合を半々とし、抹茶の生産量を増やしたといいます。
抹茶も煎茶も多くの場合、同じ茶の木から育ちます。
ただ、抹茶は収穫前、葉にカバーをかけて濃いうまみを引き出すため、煎茶より手間がかかるといいます。
奥富園・奥富雅浩15代目園主:
工場の能力があるので、たくさん増やしたいところだが、限界はあるが状況を見ながら増やしていくのかなという状況。狭山は抹茶の工場自体がないので、あまりその恩恵は受けられてない産地なのかなと思って、ちょっと歯がゆいところもありながら。
手間はかかっても高く売れる抹茶の栽培に切り替える農家が増え、煎茶の生産量が追いつかない状況になっているというのです。
その結果、価格にも異変が。
JA全農京都によると、その年の最初に摘まれる一番茶の2025年の価格は1kg当たり4482円と、2024年より1000円以上も価格が高騰。
さらに、2番目に摘まれペットボトル飲料などにも利用される二番茶は、2025年の価格は1929円と、2024年に比べて6割以上も高くなっています。
奥富園・奥富雅浩15代目園主:
(煎茶の値上げは)致し方ない。多少の値上げは申し訳ないが、消費者の皆さんにお願いしなければ。
今後、煎茶の価格はどうなるのでしょうか。
農林中金総合研究所・山本裕二研究員:
生産の現場では、煎茶からてん茶(抹茶)への転換が今後も進む。農家の販売収入の増加につながったので、(農家)経営の影響はかなりプラスの影響が大きいと考えています。これまで比較的安い価格で売られていた煎茶が、今後、棚から姿を消すこともあり得るのかなと考えております。