清流・四万十川のほとりに暮らし、その姿をフィルムに収め続けたひとりの写真家がいます。2026年で80歳になる四万十町在住の写真家・武吉孝夫さんです。観光資源としてだけではなく暮らしを写し出す存在として清流を語り継ぎたいと語る武吉さんを追いました。
様々な表情を見せる四万十川。長年に渡り清流をフィルムに収めてきた写真家の武吉孝夫さんは1946年四万十町生まれ。大阪の写真専門学校で学んだ後に故郷で写真店を営みながら写真家として活躍を続けてきました。
武吉孝夫さん:
「だいぶ撮ってるんですわ。大正ロマンっていう時代やから」
今から50年前、高知市で武吉さんが撮影した写真には、モノクロの当時の街並みが。人々の営みを生き生きと伝え、記録写真としても貴重な存在です。
武吉孝夫さん:
「たぶんね、とんでもなく変わってると思う。これは旭駅。こんな所、もうないもんねえ。これが昭和51年です」
武吉さんはこの日、四万十川流域を案内するガイド役として車に乗り込みました。
武吉孝夫さん:
「ここにほら、お地蔵さんがあるでしょ。人々が無事に渡れるようにということで、『見渡し地蔵さん』が大体の橋の両脇にあります。昔のそういうような祈りっていうのがね、実は大事。僕はね、よく言うんです。四万十川をひとことで言えば、やっぱり『信仰の川』です」
武吉さんに同行するのは四万十川流域で長年地域おこしに携わってきた畦地履正さんです。
畦地履正さん:
「武吉さんと出会って30年過ぎましたね。武吉さんの深い見地を我々も知りたいなと、四万十川に対しての。橋がないと川舟で渡した時代とか、いろんなことがあるわけですよ。いや、すごい深いですよ」
単なる観光資源として四万十川を発信するのではなく、地域に暮らす人たちの生き様や文化を記録し後世に残していきたい。2026年に80歳になる武吉さんの願いです。
武吉孝夫さん:
「観光の四万十川というよりも生活の四万十川が実は大切やと思いますので。クルーズに参加される方を中心に、来年から、私の知り得ている四万十川の全てをお伝えする」
生活者の目線による清流・四万十川を多くの人たちに伝えたい。武吉さんの「体験クルーズ」が四万十川の新たな価値を後世に伝えるきっかけになるのか、期待は高まります。
四万十川といえば沈下橋などの情緒ある風景やアユやウナギといったグルメなどが全国的に知られますが、地元の人たちの生活者としての目線による四万十川の姿、そういうものを知る体験ツアーというのは興味深いです。
武吉さんは単に名所を巡るだけではなくそこを歩いている地元の人たちに声をかけ、直接様々な話を聞いたり人々の生活を垣間見たりする、そんな体験ツアーが理想だといいます。
写真家・武吉孝夫さんが残そうとする自然と人間のかかわりあいの姿は、私たちが忘れていた本来の姿かもしれません。